- 原文
- And the Winner Is... U-G
- 著者
- Mike Flores
- 訳者
- 獅子面のネタ師 ◆Neta/Frxv.
- 投稿日
- 2003-08-02
- 更新
- 2003-08-02
さて、8版の登場である。スタンダードの既存のアーキタイプでは青緑こそが8版の恩恵をもっとも受けたように見える。まず、青緑の天敵たるデッキ達は弱体化を余儀なくされた。《強迫》や《対抗呪文》といった黒コンやサイカの妨害手段の要が脱落してしまったのだ。この2種類のスペルが直接的に青緑に強いわけではない。これは確かだ。つまり《強迫》にバックアップされた《ヴィザラ》は魅力だが、《強迫》自体によって青緑に勝ててるという訳ではないのだ。しかし、このような妨害手段が脱落したことで、対青緑用デッキとしての黒コンやサイカは失墜したと言える。
更に、ステロイドはその力を殆ど失っていない事実にも目を向けよう。《ラノワールのエルフ》や《カープルーザンの森》は8版で落ちたが、代わりを探すのは容易だ。《エルフ》は《極楽鳥》に置き換えることで《激発》《幻影のケンタウロス》や、あるいは《焦熱の火猫》といった色マナの濃いカードを、より楽に使うことができる。また、土地のスロットをちょっと増やして24枚にすれば、《カープルーザン》を難なく《シヴのオアシス》に置き換えることも可能だ。
このステロがまったく衰退していないという事実は、ステロを喰い物にしてきた青緑には朗報だ。多くの人々が《野生の雑種犬》《象の導き》《火山の鎚》といったカードに満たされた紙の束に群がるだろうし、青緑のプレイヤーはこれらを《送還》で華麗に躱してしてあげれば良いのだ。そう、この《送還》。世界選手権からGPアトランタまでの期間にトーナメントに参加するなら必須の1枚だ。
さて、ここで問題だ。青緑にも色々なタイプがあるわけだが、どの青緑が8版の恩恵を受けているのかな?
青緑というジャンルは、実に多様なアーキタイプが存在してたいへん興味深い。しかし、ことスタンダードに関して言えば、青緑と聞いてまず思い浮かべるのは、Jeff Cunninghamとその仲間たちによって提唱されたUGマッドネスであろう。このカンニンガム風味とでも言うべきUGマッドネスであるが、最近では欧州選手権でNicolai Herzogがこれを使い優勝しているこの事実は、Cunninghamがいかに「天才」であるかを世に知らせしめる為に、自分自身でSBOのWeek in Reviewerにて記事に書き立てている。
UGマッドネスは、《雑種犬》が如何にブッ壊れているかを我々に教えてれるが、時に生物除去の大挙に膝を屈してしまう脆さも持ち合わせている。Cunninghamの採った手法は、一時期は4枚が常識とされた《マーフォークの物あさり》をデッキから抜いてしまい、《物静かな思索》をメインに入れているものだ。これこそ、8版以降のUGマッドネスのあるべき姿と言えるだろう。なにしろ、8版では《物あさり》が引退してしまったのだから。天敵の減少と、捕食できるエサ達の増加により、UGマッドネスは食物連鎖の上位に押しやられるだろう。なにしろ、8版移行に伴い利益を得ることのできた数少ない青いデッキの一つなのだから。多くの青使いが10年来の相棒《対抗呪文》の引退を嘆き悲しむ中、マッドネス使いは新たな相棒《マナ漏出》の導入に歓喜するはずだ。
予言しておこう。UGマッドネスのアーキタイプは今後、根本から構造改革されるであろう。そう、まるでかつてのUGマッドネスが8カウンター型から《不可思議》ビートダウンが分離し、そしてCunninghamによって《物あさり》が《アクアミーバ》と《思索》に置き換えられたようにである。一時期はサイドにすら居場所がなかった《ケンタウロス》が、今やメインに居座っているという事実もあるわけだ。Kai Buddeやその他のプレイヤー達の間では、初手に墓地に落としたいカードが溢れているのに《雑種犬》も《入念な研究》も無いという、UGマッドネスによく有りがちな日和った引きは問題視されていた。また、《萎縮した卑劣漢》を擁する黒単ビートダウンの台頭もマイナス要因であった。一時期は、「わずか2マナで《Demonic Tutor》の確実性と《Ancestral Recall》のアドバンテージを兼ね備えている」と言われた《思索》とも、そろそろするバイバイする時季に来たのではないだろうか。そもそも《ワームの咆哮》は生撃ちだと7マナもかかるし、同じ4マナ域の《ケンタウロス》と比べても、とりたてて優れているとは言い難い。この《咆哮》と《思索》の分のスロットを空ければ、デッキに《マナ漏出》のスペースが確保できるのだ。
偉大なるOsyp Lebedowiczに拠れば、「UGの同キャラ用の対策をどんなに練っても、結局《不可思議》ゲーなことには変りはない」そうである。一方、Kai Buddeに言わせると「噛み合わない初手が主な敗因である以上、墓地に依存する《不可思議》は少ないほど良い」とのことだ。私自身としては、ここ最近《不可思議》3枚以下のUGは組んだことが無いし、一時期は4枚にまでしていたほどだ。最新の動向を観ると、欧州チャンピオンHerzogのレシピからニューイングランド地区王者のPete Guevinのレシピに至るまで《不可思議》は2枚だったという事実もある。しかしながら、8版環境で勝ち残るUGマッドネスは、同キャラ対策として確実に《不可思議》4枚をメインに戻すであろうことを断言しよう。
上に挙げたレシピは、従来のマッドネスに比べて整合性があるとも言えるし、無いとも言える。《尊大なワーム》《不可思議》《咆哮》といったカードに割くスロットを少なくしたことで、爆発力では劣るようになったが、《雑種犬》に極度に依存しなくなった点は評価できる。しかし、ダブルシンボルな《ケンタウロス》のお陰でマナバランスがタイトになっているという欠点もある。
しかし、デュアルランドの無い現環境では、マナ事故が恐ければもともとUGなどは使わないというのも、一つの考え方ではある。
UGスレッショルドの歴史はPT大阪時代にまで遡る。このPTでトップ8入りしたUGデッキ3つは全て、何かしらのスレッショルド要素を持っていた。もっとも、これらは全てマッドネス要素も持っていたのではあるが。スレッショルド専門のデッキとして最も新しいレシピは、昨年度世界選手権のRaphael Levyのスタンダードのデッキであろう。
レシピを見てもお解かりのように、このデッキはカードセットの移行による痛手が殆どないのである。確かに《ヤヴィマヤの沿岸》を失ってはいるが《溢れかえる岸辺》《吹きさらしの荒野》というスレッショルドのコンセプトに合った心強い味方を得ている。さて、このデッキ。様々な戦術が用意されているが、そのどれ一つをとっても完璧な解決策とはなりえてない。私達のチームでUGスレッショルドのプレイテストを行った過程で、Tony Tsaiの指摘が印象的だった。「いくつかのマッチアップじゃ青緑デッキは金魚同然だね」例えば対リアニメイターでは、《ヴィザラ》が出ると投了なので盤面に脅威を与え続けて押し切らなければならない。
これがUGマッドネスだと《堂々巡り》を使うことができ、これを《雑種犬》《アクアミーバ》や時には《物あさり》《強制》などでバックアップできる。よって《堂々巡り》を1マナスペルとしてテンポよく使うことが可能である。しかし、UGスレッショルドだと共鳴者は《雑種犬》しか居らず、しかもこの優秀生物もこのデッキでは2ターン目に出すにはいささか物足りないのである。やはり《堂々巡り》は諦めた方が良さそうだ。UGマッドネスのプレイスタイルをミラクル・グローとするなら、UGスレッショルドのそれはストンピィなのだ。
でも、《マナ漏出》は入れるべきだ。
このUGマッドネスの新たな相棒は、UGスレッショルドにとっても良きパートナーなのだ。デッキの雛形としては、Levyのデッキよりむしろ同じ2002世界選手権でDave Humpherysが全勝を飾ったものの方がより8版環境向きである。
全外的にはUGマッドネスより小粒な印象が否めないが、その一方でスレッショルドや飛行を確実に得ることができ、クロックも速い。今回はスペル全てが2マナ以下ということで、土地は少なめにしてみた。そして4本《不可思議》を入れるよりも4枚の《霊気の噴出》を採って攻撃を押し通す方策を立てた。もし4枚もバウンスにスロットを割けないというのなら、《送還》を使うのが良いだろう。
完璧な引きができるなら、《マナ漏出》とバウンスを搭載したUGスレッショルドは恐るべき強さを発揮するだろう。このデッキは少ないマナで、相手に深刻な脅威を与え続けることができるのだ。しかし残念ながら、そう思い通りには行かないかもしれない。私自身がさっき述べたように、《思索》は次世代のUGマッドネスにはもはや必要ではなく、それゆえより妨害手段に富むUGマッドネスのほうが、もっとカンスリ的な動きを期待できるだろう。そうそう。《卑劣漢》を擁する黒単ビートダウンは《思索》に対する良き解答となりえるため、《強迫》脱落後の8版環境でも活躍が期待される。この《卑劣漢》の存在は、UGスレッショルドの生物たちにとっても大きな問題だ。《マングース》《熊人間》といった優秀生物や、何とか使用に耐える《シートンの斥候》でさえ、墓地に7枚カードが無ければ只の紙切れに過ぎないのだ。
UGスレッショルド隆盛の鍵は赤いデッキが握っている。もし8版環境でゴブリンたちが勢力を伸ばすなら、ゾンビは衰退を余儀なくされる。そう、そこかしこに《火山の鎚》が溢れてる時代に、《墓生まれの詩神》など誰も使いたいとは思わないだろう。《沼》よりも《山》が使われる時代が来れば、UGスレッショルドはUGマッドネスより良い選択肢となる。UGスレッショルドは、より速くファッティを場に出せるし、序盤から積極的に動ける。さらにフェッチランドのおかげで、《崇拝》をサイドインできるようになるのだ。そして《マングース》は《火花鍛冶》では焼けないという事実も大きい。
このようにUGスレッショルドは、メタによっては非常に魅力的な選択肢である。環境のメタが歪み、赤単と黒単の勢力図が大きく動いた時にだけ、このUGスレッショルドの威力はUGマッドネスを凌ぐだろう。
かつての栄華はどこに? Kai BuddeやSteve OMSといった歴代PT王者が昨年度の世界選手権のOBCに UGフラッシュバックを持ち込んだという事実。アメリカのOBCシーズンを締め括るGPクリーブランドでGab Tsang・Rob Dougherty・Adam Prosakの3人のプレイヤーをトップ8に送り込んだという事実。ああ《灰毛の定め》はどこに? ここ11ヶ月というもの《触媒石》を見たことがない。
UGフラッシュバックの爆発力は他のどのUGデッキにも勝る。完璧な引きなら、1ターン目に《入念な研究》、2ターン目に《触媒石》、3ターン目に《綿密な分析》と《ワームの咆哮》をFBという展開も可能なのだ。こんなにブン回られたら、もう誰も止められない。流石にこんなには回らないとしても、最初の数ターンで出てくる《ワーム》トークンは充分脅威だ。このデッキにおける《思索》は、たとえ《入念な研究》や《留意》を使わなくても自己補完的にスレッショルドを達成してくれる貴重なカードであり、《灰色の定め》との組み合わせは驚嘆に値する。Rob Doughertyのバージョンではスレッショルドを期待して《熊人間》まで採用されているほどである。さらに、《触媒石》さえ張ってしまえば相手は《一瞬の平和》や《炎の稲妻》を撃つことすらままならないのである。
このようにUGフラッシュバックは高いポテンシャルを秘めてはいるが、回らなかったときの噛み合わなさっぷりでは、完全にUGマッドネスの上を行く。例えば、時には《錯乱した隠遁者》を凌ぐ働きをする《灰色の定め》も、単にキャストしたら5マナ熊2体のスペルだ。爆弾級のカードを連発できるこのデッキも、テンポを基調としたデッキには時に飲み込まれてしまう事を覚えておいたほうが良い。世界選手権でZvi Mowshowitzのスレッショルドが《霊気の噴出》や《行き詰まり》を駆使して、Steve OMSのフラッシュバックを封じ込めた事例もあるのだ。
その構造上、UGフラッシュバックは《卑劣漢》への耐性が他の2種のUGよりも落ちている。数ヶ月前に拙稿で述べたように、この2番目に強い黒クマはUGに対する強烈なアンチカードである。このデッキを最適にチューンできるなら、《物静かな思索》によるアドバンテージを、その主目的たるカードアドバンテージの側面と、副次産物である《灰色の定め》や《熊人間》をスレッショルドのための側面とに、上手く両立させてやることができる。この視点に立つと、このデッキは2002年に世界を制したティンカーのように見えてくる。強烈なマナ基盤と、ハイコスト/ハイパワーな能力を持つ多様でメタに即したユーティリティーカード達、そして2マナ域に致命的な弱点カード為ににメタの主役には成り得ないところなども、である。UGフラッシュバックもまた、「銀の弾丸」を散らしてメタ内のあらゆるデッキに対処できるように組むデッキであり、自身がメタの主役になる訳ではないのだ。しかし、ブン回ってしまったUGフラッシュバックは強力で、新環境のどんなデッキもこれには対処できないだろう。
UGフラッシュバックをティンカーの系統とするなら、《マナ漏出》をデッキに入れるのは正解であろう。そう、Zvi MowshowitzとMogg Squad作のスーサイドブラウン(《魔力の堰(5th)》の時代のExtendedのティンカー)に《Arcane Denial》というカウンターが入っていたように、だ。理想的ドローをしたUGフラッシュバックは、3〜4ターン目にはゲームの趨勢を決めてしまう展開力がある。この場合は、ほんの短い時間の間に5つのプレイエリアを全部駆使することになるだろう。さて、一旦場の支配を確立したUGフラッシュバックが恐れるものとは? それはゲームを引っくり返される《霊気の噴出》や最近だと《総帥の召集》等のカードだろう。Tsang・Dougherty・ProsakがGPクリーブランドで揃いも揃って《被覆》をデッキに入れていたという事例もある。OBCにおいては有効だった《被覆》は、《星の嵐》《燻し》《天使》が横行する環境では《マナ漏出》に置き換わるのが自然だ。この《マナ漏出》の3マナという支払いも、クロックが速いこのデッキでは問題にならない。追加の3マナを払えるようになるまでは、相手が生きていないのだから。
私の評価では、フラッシュバックはUG系の「第3のデッキ」に過ぎない。しかしそのパワーたるや侮れないのも確かである。その強さは君自身の手によって確かめて欲しい。
翻訳内容は、獅子面のネタ師◆Neta/Frxv.の脳内変換されたものであり原文記事の内容を正しく捕らえきれていない場合があります。
原文との併読をオススメします。原文はこちらです。
http://www.wizards.com/default.asp?x=sideboard/strategy/20030723a