- 原文
- Moving Goblin Bidding From Standard To Block
- 著者
- Rob Dougherty
- 訳者
- 矜侍 。 ◆KuKyouJIv6
- 投稿日
- 2003-07-29
- 更新
- 2003-07-29
スカージがトーナメントリーガルになって以来というもの、ゴブリン召集はトーナメントで大暴れを続けている。ゴブリン召集とは、序盤に於いては《ゴブリンの戦長》によって加速されたオンスロートブロックのゴブリンたちで猛攻を仕掛け、終盤には《総帥の招集》という爆弾を炸裂させると言う二段構えの構成のデッキだ。
このデッキが最初に登場したのはヨーロッパ選手権でのことだ。このデッキの製作者でもあるEder Wolfgangが使用し、印象的ではあってもいささかの失望も覚えさせる13位という成績を収めた。
トップ8のスポットライトを浴びられなかったにもかかわらず、Ederが構築したこのデッキは見過ごされたりはしなかった。Ederのトップ8の地位を勝ち取るためのチャレンジの過程で、彼は2度ほどフィーチャーされたのだ。
この結果は、GPバンコクのための準備を進めていた藤田剛史の目にもきっと止まったに違いない。3人…そう、3人だ! ゴブリン召集は3人ものプレイヤーをGPバンコクのトップ8という栄誉に輝かせたのだ。それだけでも驚くべきことだろう。しかし、さらに驚くべきことは、その3人のプレイしたデッキは全て同じ構成で、その構成のゴブリン召集を持ち込んだプレイヤーは全員トップ8に進出しているということだ! これはサイドボード・オンラインの記事を参照してもらいたい。
藤田剛史は、ゴブリン召集がヨーロッパ選手権で好成績を収めるたのを踏まえて自分のブロック構築のゴブリンにいくつか変更を加え、それをGPバンコクに持ち込んだ。されに、彼の友人である藤田修と山田努も全く同じ構成のデッキを持ち込み、彼らは全員ともトップ8に進出したのだ。
これらの多くの印象的な結果を見て、オンスロートブロックのカードが大量に入ったこのデッキが現在のスタンダード環境で大きな地位を占めるようになるのは確実だろう。プロツアー出場を狙う人々がこのデッキに関してする質問は、「このデッキに修正を加えて、ブロック構築のトーナメントで上位を狙えるようなデッキにすることは出来るのだろうか?」というものだ。
この質問に答えるための最初の一歩は、このデッキのパーツのうちそのままブロック構築でも使用出来る部分を探すことだ。藤田の、GPバンコクでのバージョンよりもさらに最近のバージョンを雛形として使うことにしようと思う。
23枚の土地のうち18枚はブロック構築でも使えるものだ。ブロック構築へと変換される過程で、このデッキは赤と黒両方のマナを供給できる5枚の土地を失うこととなる。
37枚のスペルのうち29枚はブロック構築でも使える。ブロック構築へと変換される過程で、このデッキは4枚の《ゴブリンの女看守》と4枚の《炎の稲妻》を失うことになる。
Wolfgangのバージョンを見てみると、藤田がデッキから外すかサイドボードに移すかした他のオンスロートブロックのカードを発見することが出来るだろう。
Wolfgangと藤田、それぞれ成功を収めた二つのバージョンからオンスロートブロックのカードを単純に集めただけで、38枚のスペルを選び出すことが出来た。《うすのろ》も、《司令官》も、《匪賊》も、《名手》もどれも枚数を増やさずに、さらには《ショック》を加えることさえせずにだ。スペルの点から見れば、ゴブリン召集をブロック構築で使用できる見込みは十分にあると言えるだろう。
しかし、このデッキをブロック構築に変換するために一番の問題になるのはスペルではない。マナベースだ。Wolfgangは22枚の土地をデッキに投入し、19枚の赤マナソースと13枚の黒マナソースを両立させていた。(フェッチランドは赤と黒両方のマナが出ると計算してある)藤田は23枚の土地を使い、21枚の赤マナソースと11枚の黒マナソースを両立させていた。どちらのデッキも、序盤の展開がスムーズに行くように十分な赤マナソースが投入されている。藤田はマナソースの量そのものを一枚増やし、それでいて黒マナソースは少なくしている。さらに彼はメインの《召集》を3枚に減らし、黒マナの需要自体を減らしている。(黒マナが必要になった時には投入できるよう、サイドに黒のマナソースを用意してはあったようだが)
スタンダードにいくつも用意されている二色地形を使用しないことには、彼らのように十分な数のマナを用意することは不可能なように思える。明らかに、ブロック構築バージョンでのマナベースはスタンダードのそれより悪いようだ…
しかし、マナベースを、スタンダードには及ばないにせよ十分なものにすることは全くの不可能なのだろうか? マナベースを構築するための出発点としては、4枚の《血染めのぬかるみ》がある。しかし、それ以外に赤と黒を両方供給出来る唯一の土地は《大闘技場》ということになる。このデッキからマナを出すことで受けるダメージは、スタンダードのバージョンにおいて《硫黄泉》から受けるダメージと変わらないので、この土地から受けるダメージが大きな問題となることは無いと考えられる。
《大闘技場》を投入することで、スタンダードのそれに似たマナベースを得ることが出来るだろう。
このマナベースでは、18枚の赤マナソースと11枚の黒マナソースを得ることが出来る。完全ではないが、戦績が証明されているバージョンのマナベースに近いもので、恐らくは上手く働いてくれる。
とはいえ、《大闘技場》はいいことばかりでは無い。小さな欠点として、"タップ状態で場に出る"ということがある。いくつかのデッキにとっては、それは大きな欠点とはならない…
だが、このデッキのようにテンポを重視するデッキにとっては全く別の話だ。可能ならば、1ターン目に《スカークの探鉱者》、2ターン目に《ゴブリンの戦長》、3ターン目には適当な攻撃クリーチャー、というように途切れなく攻勢をかけ続けたい。それなのに、一枚の"タップ状態で場に出る"土地が、別の土地を引いていれば完璧なテンポで攻勢をかけられたドローを全くの台無しにしてしまうことがある。
もしも《大闘技場》を使うのを諦めてしまうのなら、赤と黒両方を供給出来る土地は4枚のフェッチランドだけになってしまい、初手の十分赤マナソースと、中盤から終盤にかけての黒マナ二つを両立させるのは非常に難しくなる。
初手に赤マナが無かった場合は他にどんな良いカードを引いていてもマリガンするようにするなら、赤マナの無い初手をキープする羽目になる確率は最小限で抑えられるだろう。個人的な感覚としては、9割くらいは初手に赤マナを引きたい、というのがある。確かに、1割の確率でマリガンしなければならないというのは決して良くはないが、許容範囲だと思う。私のデッキは他の9割の時にはとてもパワフルなものだからね。
さらには、当然のことだが、大概のゲームでは5ターン目には《召集》をキャストできるようにしたい。
MOの統計ツールを使って計算したところ、次のような構成がはじき出された。
これなら、91%の確率で初手に赤マナを引け、60%の確率で5ターン目までに黒マナ二つを揃えられる。8ターン目まで待つのなら、73%までこの確率は上がるだろう。このマナバランスは少し不安定だが、許容できるものだろう。…少なくとも、プレイテスト用としては。
土地の枚数を調整するのは非常に難しい作業だったが、次の作業はもっとずっと楽しめるものだった。それは、ブロック構築で使用可能なカードの中から、デッキに投入する37枚のカードを選び出すという作業だ。
藤田のバージョンがあれほど印象的な成功を収めたことから、彼のデッキレシピを参考にして構築することにした。
藤田のゴブリン招集をブロック構築に変換するために、8枚のカードを取り替える必要があった。つまり、4枚の《炎の稲妻》と4枚の《ゴブリンの女看守》だ。《炎の稲妻》を似たような効果を持つ《ショック》に取り替えるのは簡単だった。しかし、《女看守》を何に取り替えるかはかなり問題があった。
《女看守》は藤田のデッキで驚くべき働きを見せている。彼女は《探鉱者》にも、《そり乗り》にも、《火花鍛冶》にも、《群集追い》にも、《包囲攻撃の司令官》にも変わる危険なカードで、《召集》でゴブリンを召集すればその能力はもう一度使いまわすことさえ出来るのだ。彼女で好きなゴブリンを持ってこれると言うことが、このデッキの与えるプレッシャーをさらに強力なものにしていると言えるだろう。
《女看守》の役割を全て代替できるカードはブロック構築には存在しない…そこで、一部だけの代替で我慢することとなるが、その時に最も重視すべきなのは"プレッシャー"だと私は思う。そのプレッシャーを与えるために私が何をデッキに採用したかと言えば、それは《ゴブリンのうすのろ》だ。《うすのろ》は、クリーチャーの少ない、《稲妻の裂け目》を基盤としたコントロールデッキで溢れたブロック構築ではより輝きを増す。彼は早いターンの《星の嵐》も、《ショック》も、《裂け目》も受け流して非常にきついクロックをかけてくれる。
《包囲攻撃の司令官》もまた恐るべき働きをしている。さらに追加を入れることも検討したが、結局は5マナのスペルは5枚で十分だろうと思い直した。
サイドボードについても、藤田のものを参考にすることから始めようと思う。藤田のサイドボード15枚のうち、ブロック構築でも使えるのは11枚だ。
これらのカードは全て、ブロック構築でも上手く働くだろう。残りの4枚を埋めることだけ考えれば良い。変換の過程で失われたカードは、1:シャドーブラッドの尾根、2:鋭い痛み、1:棺の追放、だ。
シャドーブラッドの尾根は、サイドボードから《燻し》や《召集》などの黒いスペルを投入するさいに黒マナを安定させるために投入するものだ。これらの黒いスペルを投入するということは、つまりデッキのテンポが少し遅くなるということになる。そこで、《尾根》の代わりは《大闘技場》でちょうど良いように思われる。
ブロック構築には《一瞬の平和》や《赤の防御円》のようなカードが無いため、《鋭い痛み》のようなカードをサイドボードに投入する必要はなくなる。同じように、リアニメートはスタンダードのような強力なデッキではないために、《棺の追放》も同じようなカードを入れる必要が無い。よって、3枚サイドボードに余裕が出来ることになる。
ブロック構築では《波停機》はスタンダードよりもずっと強力だ。スライド相手に投入すべきカードは既に4枚の《硫黄の渦》と1枚の《波停機》があるので、3枚の空きを全て《波停機》で埋めようとは思わないが、1枚追加するのは悪くない試みだろう。
残った2枚の空きには、《宝石の手の焼却者》を詰めることにした。《焼却者》はこのデッキでは素晴らしい働きを見せる。ショックよりも優先してメインデッキに投入するというのも十分考えられるほどだ。しかしここではもう一つの方法、つまり、メインとサイドと合わせて4枚の《焼却者》を投入する、と言う方法を取ろうと思う。
ここまでの変更で、サイドボードは以下のようになる。
お決まりだが、このデッキを大きなイベントに持ち込む前に自分で回して、プレイテストを十分にするように忠告しておこう。もちろん、サイドボーディングの練習もだ。君が幸運と、幸運な召集に恵まれますように!
当ページは、2ちゃんねるの卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。