- 原文
- Black-Green for Regionals
- 著者
- Victor van den broek
- 訳者
- 高潮の翻訳者
- 投稿日
- 2003-04-12
- 更新
- 2003-05-07
今年もこの季節がやってきた。横浜へのPTQは殆ど終わり、プレイヤーたちはその次の大事なトーナメントに目を向けはじめる:各国の選手権だ。既にレーティングで招待されることが確定していて、権利の心配をしなくていい人たちも居ることだろう。国によっては、選手権に招待されるレーティングがかなり低い。だが、合州国選手権に出場するのは、プロツアーに出るのと同じくらい大変だ。招待されるためのボーダーはとても高く、予選にはたった一度しか出られない――地区別選手権にしか。
オランダでは、選手権が今年は比較的早く開催される。4月18日〜20日が、オランダ最強を決める戦いの日取りになっている。とりもなおさず、オランダ選手権の予選はもう終わっているということだ。予選以外で本戦の権利を得ているプレイヤーが出場していないとはいえ、侮れない実力のプレイヤーたちが本戦の椅子を賭けて戦った。予選では、地雷デッキの活躍がかなり目立っていた。
この地雷デッキはマーテン・ファーガソン / Maarten Fergusonがトーナメント・シーンに持ち込んできた。ファーガソンはStarCityGames.comのフォーラムに出てた《鉤爪の統率者》+《ナントゥーコの鞘虫》のデッキをちょっといじってみたのだと言っていた。ファーガソンはこのデッキでローカルのトーナメントをふたつみっつ勝ち、レーティングで確実に選手権に出られることを決めてしまった。さらにこのデッキはファーガソンの友人にも提供され、選手権予選の最初のふたつを一位で通過した。このデッキはとても対応力が高く、現環境のメタゲーム内にあるどのデッキにも勝てるようにチューニングすることができる。この柔軟性こそが、デッキがトーナメントをいくつも勝ち抜く原動力だった。
マーテンの最新ヴァージョンのレシピはこうだ:
このヴァージョンは局地的なメタゲームが赤緑と青緑に支配されていた時のものだ。サイドの4枚の《ブレイズ》は普段はメインデッキに入っている。筆者は《ブレイズ》の入っているヴァージョンをMOで使ってみたが、かなりいい成績をあげることができた。上のレシピと比較すると、《願い》で持ってくるサイドボードの対象を増やしており、さらに微調整を加えられている。具体的には、2枚の《幻影のケンタウロス》と4枚の《燻し》を抜いて、《ブレイズ》を3枚投入、《貪欲なるベイロス》を4枚、《鉤爪の統率者》を2枚に、それぞれ増やしてある。
デッキの基本的なアイデアは、対戦相手のあらゆる脅威に対する解答を持ち合わせることと、さまざまな種類の脅威を用意して、その中で対戦相手が解答を持たないであろうものを突きつけること。対戦するデッキに応じて、このデッキはコントロール・デッキにもビートダウン・デッキにもなる。ひとつの戦略に専念していないぶん、例えば攻撃性では青緑に劣るし、防御力ではサイカトグに敵わない。だから、対戦相手に応じて戦略を微修正することが必要になってくる。
この顔合わせでは、明らかにコントロールデッキとして回すべき。青緑は妨害手段に《堂々巡り》しか持ってないということを頭に置こう。つまり、相手に対する脅威を場に送り出すことができる。《要塞の暗殺者》はこの相手には素晴らしい。場に居る《ワイアウッドの伝令》と《ラノワールのエルフ》が全部打ち消し不能な《闇への追放》に化けるのだから。《尊大なワーム》でも《ワームの咆哮》(のトークン)でもやっつけられる。《願い》を打つ時は、まず《萎縮した卑劣漢》を持ってこよう。《不可思議》も取り除けるし、《ワームの咆哮》や《綿密な分析》がフラッシュバックされる前に取り除くこともできる。ただし、対戦相手が《野生の雑種犬》経由で《ワームの咆哮》を落とした場合には、フラッシュバックする前に取り除けるが、《入念な研究》から落とされた場合は、相手がすぐにそれをキャストすれば取り除くタイミングはないことは憶えておこう。ゲームが終盤になれば、《定員過剰の墓地》が登場して、どう転んでも勝ちになる。とにかく、序盤に負けないことだけを心がけよう。序盤さえしのげれば、この対戦はいただきだ。
この顔合わせについては、赤緑のメインデッキがどんな構成になっているか、またこちらのメインがどんな構成になっているかに左右される。もしこちらにメインから《燻し》が入っていれば、この対戦は楽になる。もし相手がメインから《幻影のケンタウロス》を入れていれば、ちょっと厳しい戦いになるだろう。対青緑と同じように、序盤の何ターンかを耐えしのげれば、勝ちが見えてくる。《渋面の溶岩使い》は厄介だが、もし《貪欲なるベイロス》がぐるぐる回り始めれば、物の数ではないはずだ。《生ける願い》でヴィザラを連れてきて、害虫駆除をさせるって方法もある。
「スライド」は分の悪い相手だ。大量除去があって、対処しづらい脅威(《賛美されし天使》)が入っていて、《霊体の地すべり》と《稲妻の裂け目》で場をコントロールしてくる。幸いにして、「スライド」は「ウェイク」と「サイカトグ」に弱いので、州別選手権に「スライド」を持ち込むのはいい選択ではないとみんな考えるだろう。だから、それほど対戦することにはならないで済む筈だ。
不幸にも対面してしまった時は、早いプレッシャーをかけることに専念すること。もし《ワイアウッドの伝令》を場に置けたのなら、可能な限り(2緑)マナを立てておくこと。《神の怒り》や《めった切り》を喰らっても、熊軍団が引き続きプレッシャーをかけてくれる。《願い》では《ナントゥーコ自警団》や《戦慄をなす者ヴィザラ》を引っ張って来れる。それでも、決して分の好い勝負ではない。
「ウェイク」も不利な相手だが、「スライド」ほどではない。ただ、もしメインに《陰謀団の先手ブレイズ》が入ってなければ、さらに辛いことになるだろう。60枚の中にブレイズが入ってれば、大丈夫だ。ひとたびブレイズが場に出れば、対戦相手は早急に解答を見つけない限り、ほどなく屈服することになる。《陰謀団式療法》も貴重な時間を稼いでくれる。しかし、なんにせよ、有利とは言えない顔合わせだ。
対戦相手が1ターン目に赤くてちっこいクリーチャーを出してきたら、まずは喜んでいいだろう。《ワイヤウッドの伝令》は大量のブロッカーをもたらしてくれるし、《貪欲なるベイロス》は相手にとってまさに頭痛の種だ。こちらはおおよそ相手よりも質のいいクリーチャーを展開しつづけられるし、《貪欲なるベイロス》が回り始めたら勝ったも同然。サイドボードからさらに効果的なカードを投入すれば、ほとんど一方的と言っていい相性になる。
「サイカトグ」のヴァージョンによって、この顔合わせの相性は「素晴らしい」から「最高」までの間のどこかに落ち着く。《ラノワールのエルフ》と《極楽鳥》以外は、こちらのデッキの全てのカードが「サイカトグ」にとって脅威のかたまりだ。《陰謀団式療法》は相手の手札を切り裂く。《生ける願い》は状況に応じて最高の脅威を入手できる――大抵は《ブレイズ》か《幻影のケンタウロス》だ。《鉤爪の統率者》と《定員過剰の墓地》は相手の除去を無意味にしてくれる。サイドボード後は、《要塞の暗殺者》を《燻し》と入れ換えることで、相手の脅威に対する最高の解答を得られるだろう。
サイドボーディング時に、筆者は《燻し》だけを投入することが多い。攻撃的なデッキ相手には《陰謀団の先手ブレイズ》を抜いて、コントロール・デッキ相手には《要塞の暗殺者》をアウトする。
もちろん、このデッキにも弱点はある。現在、青緑相手のサイドとして《無神経な抑圧者》が流行っているが、不運なことにこいつはこのデッキ相手にも大変役に立ってしまう。こちらには《燻し》と《要塞の暗殺者》しか解答がない。また、《幻影のケンタウロス》もちょっと厄介だ。《たい肥》も然り。このデッキのうち黒いのは半分だけだから、厄介とはいっても、全く対処のしようがないというほどでもないのだが。
このデッキを使うのなら、ちょっとしたトリックが色々あることと、また逆にミスを犯す可能性もいくつもあることを憶えておこう。例えば、《鉤爪の統率者》の能力は場に出た時に起動するが、墓地に落ちたクリーチャーの枚数は解決時に数える。つまり、《ナントゥーコの鞘虫》で《鉤爪の統率者》を生け贄に捧げれば、熊がもう一匹出てくる、若しくは鞘虫をもう+2/+2できる。逆に、墓地にクリーチャーが3枚ある時に《陰謀団の先手ブレイズ》の能力でクリーチャーをもう1体生け贄にしても、それをそのアップキープ中に《定員過剰の墓地》で手札に戻すことはできない。《定員過剰の墓地》の能力を使うためには、アップキープの開始時と、能力の解決時の両方で、墓地にクリーチャー・カードが4枚以上必要だ。
ゲーム中一番重要なことは、このデッキをコントロール・モードでプレイすべきなのか、ビートダウン・モードでプレイすべきなのかということを常に意識して念頭に置くことだ。そして、それに従ったプレイングをして、コントロール・デッキ・プレイヤーの喉元には本物の脅威を突きつけてやろう。相手がこちらの何体かのクリーチャーに対応している間に、《ブレイズ》を通す隙が必ず作れる筈だ。もし通れば、向こうの勝ち筋は滅茶滅茶になる。
時間がなくて充分なテストができなかったが、何ゲームか使ってみて役に立ちそうだったアイデアがまだ他にいくつかある。例えば、フェッチランドを入れて《山》を一枚足せば、《生ける願い》で《騒乱の崖地》を持ってくることができる。《幻影のケンタウロス》を足せば、「サイカトグ」や赤緑に強くなり、一方で「ウェイク」や「スライド」には弱くなるだろう。《強迫》を入れれば、「スライド」や「ウェイク」にはかなり効果的だが、一方青緑や赤緑には弱くなってしまう。
このデッキはまだまだ発展途上だ。だが、充分に強力でかつ柔軟なデッキであることをこれまでに示している。地区別選手権に持ち込むデッキの選択としては、充分ありだと思う。ともあれ、読者のみなさんの幸運を祈る。
当ページは、2ちゃんねるの卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。