- 原文
- Eight Very Bad Plays
- 著者
- Mike Pustilnik
- 訳者
- 高潮の翻訳者
- 投稿日
- 2003-02-11
- 更新
- 2003-06-06
マジック・プレイヤーのみなさんはプレイミスの話が大好きなようですね! PTQでも、グランプリでも、プロツアーでも、プレリリースでも、どこでも必ず誰かが、さっきまでの対戦相手の物体プレイについて大はしゃぎで話してるのを耳にすることができます。話すことで自分がちょっとはましなプレイヤーなんだって思えるのでしょうか。それとも本質的に、人間にとって他人の不幸は蜜の味なのかも知れませんね。
ひどいプレイの話なら、みなさんは毎週アレックス・シュヴァルツマンのコラムで目にしていることでしょうが、それだけでは飽き足らない方もいらっしゃるでしょう。そんなあなたのために、今回は私自身の、まさにマジックとさえ言える不思議なプレイを8つばかりお目にかけましょう。どれも途方もなく高くついたか、笑うしかないほどひどいかのどちらかです。
《カイレンの狙撃者》は所謂「23枚目のカード」と呼ぶのにふさわしいカードです。ドラフトが上手く行っていれば、このカードはデッキに入らないでしょう。一方あまり芳しくなければ、このちっぽけな1/1ゴブリンをデッキに入れざるを得ないことも多々あります。このゴブリン君はコントローラーのアップキープごとに、対戦相手に1点のダメージを与える能力を持っています。ところが、それは正確には「与えることを選んでもよい」と書かれています。
ここまで書けばおわかりかも知れません。そう、私は実際にゲーム中に一度、《カイレンの狙撃者》に相手を狙撃させるのを忘れました。とはいえたった1点のダメージ……普通は問題になりません。しかしゲームが進み、私はほんとうに、相手をあとライフ1点までなら削れる、という状況に直面してしまったのです……。
私はそのゲームを落とし、試合にも負けました。
もっとも、そのプロツアーで《カイレンの狙撃者》に仕事をすっぽかさせたのは、私だけではなかったようです。チャド・エリスの言うには、エリスの《カイレンの狙撃者》は命中率が50%(!)ぐらいしかなかったとか。
私はこの大会で初めてPTのトップ8に入り、ジョン・“ハッピー”・チノックの右隣に座ることになりました。ドラフトが始まる前に、ハッピー・ジョンは言ってきました:「色をかぶせて来ないでくれよ!」
第五版の最初のパックを開けると、赤のX呪文(《分解》か《火の玉》でしたが、どちらだかは忘れてしまいました)と、《殺人蜂》が入っていました。《殺人蜂》は、充分な緑マナがあればほとんど無敵と言っていい緑の飛行クリーチャーです。私はX呪文をピックして、ジョンに《殺人蜂》を流しました。これは理に適った選択です。X呪文はなんであれゲームを決める力がありますし、もしこの後赤いカードがあまり流れて来なくても、タッチで入れることができます。さらに、ハッピー・ジョンに強い緑のシグナルを送ることにもなり、少なくとも緑はドラフトしないことが方向付けられたわけです。当時は、緑は最弱の色だというのが、トップ・プレイヤーの間ではほぼ固まった見解だったということもありますが。
ところが不幸なことに、わたしは当時どういった理由でか、赤緑は最強のアーキタイプなのだと確信していました。そして、明らかに不利な位置に居たのに、赤緑に突き進んでしまったのです。ハッピー・ジョンは結局黒メインのタッチ緑で、そもそもの始まりだった《殺人蜂》(タッチでは弱い!)までデッキに入っていました。私はもちろん2パック目で緑を全部止められ、デッキに入るカードが足りなくなり、仕方なく土地を多めに入れた水増しデッキになってしまいました。私は準々決勝のイヴァン・スタノーイェフ戦で土地を引き過ぎて0−2で敗れ、ハッピー・ジョンもまた準々決勝で負けました。私のひどいドラフトは、ハッピー・ジョンと私の分を合わせれば、USドルで10000ドル以上に換算できる、おそろしく高いミスになりました。
私はそのPTQのトップ8を賭けて、友人のパット・ジョンソンと対戦していました。1−1で迎えた3本目、私は早いターンに《アクリディアン虫》を召喚しました。……ところが、うっかりエコー・コストの支払いを忘れてしまい、あわれ《アクリディアン虫》は生け贄になってしまいました。よくある、つまらないミスですが、しかし重大なミスでした。私は大事なゲームの序盤におけるアドヴァンテージを、自ら大幅に削いでしまったのです。私はそのミスについては忘れることにして、ゲームに集中し、そのゲームの残りは実際にいいプレイングができました。しかしながら、接戦の末に結局そのゲームは落としてしまいました。序盤の2/4クリーチャーがいれば、結果は違っただろうことには疑問の余地がありませんでした。
私はその予選以外にも何度かPTLA1999予選に出場しましたが、トップ8に3回入ったものの、権利は取れず終いでした。単純なアップキープ・コストの支払い忘れさえなければ、4回になっていたところでした。
PTLA1999は、今のところ私が出場できなかった最後のプロツアーです。
それは合州国選手権の初日のある試合。私は明らかに有利にゲームを進めていました。私は2体クリーチャーを並べ(そのうち一体は《エルフの抒情詩人》)、一方相手はエンチャント状態の《隠れ潜むスカージ》を出していましたが、クリーチャーは0体。私は2ターン続けて2体で一方的に相手を殴ったところでした。
さて、その時私の脳裡をある不安がよぎりました。もし相手がここでクリーチャー除去を引いたら、私のクリーチャーはやられた上に《隠れ潜むスカージ》はクリーチャーとして目覚めてしまいます。ここは先に手を打っておくべきだ、と判断した私は、《抒情詩人》を生け贄に捧げて、エンチャント状態の《隠れ潜むスカージ》を割ることにしました。対戦相手は即座に《スカージ》を墓地に置きました。
私は一瞬プレイを止め、今何が起きたのかを考えました。なにかがおかしいのです。そして私は――背筋に寒気が走るのを感じながら――気づいてしまいました。本当は何が起きたのかということに。《抒情詩人》が墓地に落ちた瞬間に、《スカージ》はクリーチャー化したのです。そして、もはや《抒情詩人》の能力で破壊されることはないのです。さらにひどかったのは、私はこれを対戦相手に説明しなければならなかったということです。
「あの、」私は言いました。「今のプレイですけど、正確には……」
対戦相手はうさんくさげに私をにらみました。まるで私がなんらかのルールを使った引っかけを仕掛けてるんじゃないかとでも言わんばかりに! 私たちは一から状況を確認して、何が起きたのかをはっきりさせましたが、それでも相手は混乱していたようでした。ルールがややこしくて混乱していたのか、それとも私が自分が不利になるにも関わらず、状況を正しいものに戻そうとしていたというのが、どうしても理解できなかったのかも知れません。
ともあれ、私は抒情詩人を失い、相手はただで3/2飛行クリーチャーを手に入れました。私は早々とゲームを落とし、試合にも敗れました。
1998年のPTLAのために私がデザインして使っていた青白コントロール・デッキは、到底完璧とは言えないものでした。赤単のビートダウン・デッキに対して、メインの《不毛の大地》よりもサイドの《沸騰》を警戒したために、《反射池》だとか《シャドーの都》みたいな必要のない特殊地形が入っていたり、4枚も《サファイアの大メダル》が入ってる一方で《転覆》がたった一枚しか入ってなかったりしたのです。また、《ラースの風》も、優勝したデヴィッド・プライスが使っていた《巨人の力》入りの赤単に対しては、最良の解答とは言えませんでした。
プレイしていた当時も、赤いデッキに対して分が悪いことはわかっていました。ところが、早いうちに2敗したことで、私はコントロール・デッキとばかり対戦することになりました。その中の一試合での出来事です。
私は明らかに有利な状況にありました。《放逐》と《ミューズの囁き》のおかげで、対戦相手よりも多くのカードを引いていましたし、2枚か3枚か《サファイアの大メダル》を並べた上に、虎の子の《転覆》も手札に抱えていました。私は相手の土地をバウンスしようとうかがっていました。相手は《レガシーの魅惑》を場に出していましたが、それも問題にはなりません。なんであれクリーチャーを奪われたら、《転覆》で取りかえしてしまえるのですから。
それなのに、どうしたわけか私はその《レガシーの魅惑》がテーブルの反対側に居座っていることが、どうにも邪魔くさく思えてしまいました。私は《転覆》を《魅惑》に向かって打ちました。もちろん、対戦相手は《魅惑》を生け贄にして、私の《転覆》はフィズりました。私は勝ち手を失い、頑張って稼いだカード・カウントには、もはやライブラリをすり減らしただけの意味しかありませんでした。
PTLA2001の準決勝、私は青白黒デッキでベネディクト・クラウザーの緑白タッチ赤と対戦していました。スコアは1−1。私は《しなやかな海蛇》と「タッパー」二体を場に出していて、ライフでもリードしていました。クラウザーは《放浪のエルフ》と《薄光の天使》を出していましたが、《島》はありません。(この他に私たちは2/2の地上クリーチャーを二体ずつ出していましたが、この後すぐに相討ちになったためこのエピソードには関わってきません。)
私は飛行クリーチャーが居なかったので、クラウザーの《薄光の天使》がタップしているところへ《手かせ》をキャストしました。クラウザーが《放浪のエルフ》の能力を使えば簡単に青マナが生み出せるということを、完全に見落としていたのです。青マナ1点で《天使》は「対象にならな」くなり、《手かせ》は立ち消えになってしまいました。それでも私が有利には違いなかったのですが、クラウザーは私のタッパーを1体除去して、さらに《カヴーのカメレオン》を召喚してきました。私の生き残ったタッパー(《ベナリアのわな師》でした)はその4/4カヴーのタップに回らなければならず、そうなるとクラウザーはダメージ・レースで俄然優位に立つことになります:《放浪のエルフ》と《天使》で毎ターン4点、一方私は《しなやかな海蛇》の2点だけです。もし私が《手かせ》をどぶに捨てるような真似をしていなければ、毎ターン2点喰らうだけで済んでいたのに。
このひどいプレイは全く高くつくところでした――しかし、クラウザーのライフが3点、私のライフが4点になったところで、私は《潜伏工作員のローブ》を引いてきました。私はそれを《ベナリアのわな師》にエンチャントして、《海蛇》と一緒に攻撃し、ぴったり3点を削り切ったのでした。
(謙虚すぎる著者のために補足しておくと、パスティルニクはこの試合と決勝に勝ち、見事プロツアーの優勝を勝ち取っている ―― 編集部 フェレット(マイキー・Pのファン))
ラウンド13、対ケン・クラウナー戦。私は青緑マッドネス、クラウナーは青緑スレッショルドをプレイしていました。私が1ゲームを先取した2ゲーム目のことです。私の墓地には《不可思議》があって、クラウナーの墓地にはありませんでした。私は《日を浴びるルートワラ》2体(うち1体は《象の導き》をエンチャント)と《森を護る者》を出していて、ルートワラを2体ともパンプできるマナもありました。ケンのライフは残り10点です。
私はフルアタックしてルートワラを両方パンプアップすれば勝ちでした。それは明らかだったのです。しかし、どうしてか私は、《象の導き》を2点分だと勘違いしていました。1点削り切れない、と信じ込んでいたのです。私はフルアタックせず、次のターンにクラウナーは《クローサ流再利用》で私の《不可思議》を片付けてしまいました。クラウナーはそこから態勢を立て直し、そのゲームに勝つと、そのまま試合にも勝ちました。
これは私のプレイミス史上でもおそらく最高に高くついたものでしょう。なにしろ、世界選手権のトップ8がかかっていたのですから。
ここまでに挙げてきたひどいプレイに比べると、これはそれほど高くついたとは言えません。状況としては、グランプリのトップ32に入れるかどうかという辺りだったのですから。にもかかわらず私がこれを一位に置くのは、私のプレイングのひどさが、このマジックというゲームの新たな地平まで到達してしまった、と言っても過言ではないほどのものだったからです。ことモスクワの地においては、これほどの惨劇は1941年のドイツ軍の侵攻――いや、ひょっとすると1812年のナポレオンの進軍までさかのぼらなければ、見出すことはできないでしょう。
私は黒赤緑の、「場に出た時」効果を持つクリーチャーを詰め込んだビートダウン・デッキをプレイしていました。対戦相手は赤緑白の土地破壊デッキ。相手のライフは5点で、私のライフは3点でした。相手は《年経た蜘蛛》を2体並べていて、私は《疫病吐き》1体と2/2の《戦闘魔道士》3体を出していました。私は対戦相手の土地破壊呪文の嵐からようやく立ち直ろうとしているところでした:3枚の土地(黒赤緑を全部出せます)が場にあって、さらに手札にも2枚土地があります。他に手札には《火炎舌のカヴー》《荊景学院の戦闘魔道士》《墓所の天使》と揃っていました。
私のターンのアップキープ。《疫病吐き》が疫病を撒き散らし、全てのクリーチャーとプレイヤーに1点ずつ与えます。これで対戦相手は4点、わたしは2点。ドロー・ステップ、私は土地を引いてきました。さて、読み進む前に、ここから何が起こったか、みなさんちょっと想像してみてください。
実際に起きたことはこうです。私は《疫病吐き》と3体の《戦闘魔道士》で総攻撃しました。相手は2体しかブロッカーが居ませんから、これで止めを刺せる筈でした。よしんばトリックがあったとしても、《荊景学院の戦闘魔道士》でけりをつけられるでしょう。対戦相手は《戦闘魔道士》の1体を《蜘蛛》でブロックすると、もう1体の《蜘蛛》で《疫病吐き》をブロックしました。「先制攻撃のダメージをスタックに積んでよろしいですか?」相手は言いました。私は戦慄を覚えながら、《疫病吐き》のテキスト欄を見ました。《疫病吐き》は先制攻撃で死んでしまい、再び全てのクリーチャーとプレイヤーに1点飛ばします。《疫病吐き》を攻撃に参加させたばかりに、私は自分の軍隊を滅殺してしまったのです! 私の3体の《戦闘魔道士》はダメージを与えるまで生き延びられませんでした。対戦相手は依然《蜘蛛》を2匹並べ、一方で私は何もかも失い、しかもライフは今や1対3になってしまいました。
もちろん、わたしはそのターンに簡単に勝つことができました。《火炎舌のカヴー》をプレイして《蜘蛛》を黒焦げにし(アップキープに1点疫病を受けているため4点で死にます)、しかる後に3体の《戦闘魔道士》で攻撃すればよかっただけのことです。あるいは、先に3体の《戦闘魔道士》で攻撃してもよかったのです。1体は通って、対戦相手に2点のダメージを与えたでしょう。それから、《荊景学院の戦闘魔道士》で2点プレイヤーに飛ばせばよかったのです。どちらを選んでも、私の勝ちでした。
ゲームに戻りましょう。戦闘フェイズの大失敗からどうにか立ち直ってみると、私はまだ負けてはいないことに気がつきました。私は4枚目の土地を置き、《火炎舌のカヴー》をプレイして、《蜘蛛》を丸焼きにしてやりました。対戦相手はドローして、生き残った蜘蛛で攻撃してきます。私はライフが1点しかありませんから、《火炎舌のカヴー》でチャンプブロックせざるを得ません。相手は《荊景学院の弟子》を出して、ターンを終わりました。
私の次のドローはまたも土地でした。しかし、私はまだ勝てる見込みはあると感じ始めていました。私は5枚目の土地を置きました。このターン、私は《荊景学院の戦闘魔道士》をプレイして、《荊景学院の弟子》を殺します。返しのターンはその《戦闘魔道士》で《蜘蛛》をチャンプブロックして、次のターンは《墓所の天使》をプレイして《火炎舌のカヴー》を拾ってきます。《墓所の天使》はその次の《蜘蛛》の攻撃はブロックできますし、さらに次のターンに攻撃すれば、私の勝ちです(《年経た蜘蛛》は白いので、《天使》をブロックできません)。
私は《戦闘魔道士》をキャストしようと、土地をタップしました……。
私はそこで自分の手元に目をやりました。次のターンに《墓所の天使》をプレイすることを考えていたために、私は5枚の土地を全てタップしてしまったのです! もし《戦闘魔道士》をプレイすれば、私はマナ・バーンで死んでしまいます。といって、このターンに《墓所の天使》をプレイしたら、ブロッカー1体に対してアタッカーが2体ですから、1体余ってしまいます。私はそのどちらも選ばず、投了しました。自分の莫迦さ加減にうんざりしながら。
以上八つの魔法の物語、お楽しみいただけたでしょうか。私が次回参戦するのはPTシカゴ、フォーマットはオンスロートのロチェスター・ドラフトです。願わくは、私が好プレイにあふれたレポートをみなさんにお届けできんことを。
当ページは、2ちゃんねるの卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser@lycos.jp)がまとめたものです。