- 原文
- A different standard: Why should I have played white weenie in the Masters
- 著者
- Rob Dougherty
- 訳者
- NPCさん
- 投稿日
- 2003-02-06
- 更新
- 2003-06-06
ここのところ、私はあまり記事を投稿していない。プロツアー・シカゴとマスターズの前の数週間は、それらのイベントのための準備しかやってなかったからだ。しかも悲しいことに、今回はその準備が実を結ばなかった(マスターズの第1ラウンドで負けたし、プロツアー2日目には進めなかった)。
さて、再び記事を書く時間ができたので、スタンダードについて語らせていただきたい。私がスタンダードにのめりこんでいる理由はいくつかある。一つ目は、2月8日にBrighton Knight Colombus(私がいつも行っている、ボストン地区のPTQ開催場所だ)で開催される、"ビッグ・$3000.00・マジック・オープン"だ。これは名前の通り、誰でも賞金の$3000を狙うことができる(スタンダードの)マジックのトーナメントだ。この件については、プレイヤーへのインタビューとデッキリスト付の記事をwww.StarCityGames.comでまた書くつもりなので、待っていてくれ。
二つ目の理由。私は長いことスタンダードでやっているが、未だにこのフォーマットについてぜんぜんうまく話すことができない(Team Your Move Gamesの、マスターズ対策の秘密をすっぱ抜くことができれば話は別だが)。私は、実戦で使えそうな線まで行ってた変なデッキを持っていたんだが、結局はそれを使わずサイカに落ち着いてしまった。このデッキを私のファイルの中で腐らせとくのもアレなので、ここの読者に是非知ってもらおうと私は考えた。
スタンダードのようなフォーマットでは、たえず新しいデッキが生まれてくる。これが古いフォーマットになると、既存のデッキが非常に強力なものばかりで、新しいデッキにとっては敷居が高すぎる。また、新たなデッキで相手を驚かせることで、何回かの勝利は容易く貴方のもとに転がり込んでくるだろう。そして、マスターズではこれが多額の賞金につながるのだ。私が挑戦せずにはいられなかったのもあたりまえだ。
シカゴマスターズの準備を始めたとき、各州のチャンピオンシップの結果からスタンダードの定番デッキが決まっていた。サイカ、青緑対立、赤緑のような昔からの定番デッキ、オデッセイブロック構築をスタンダード向けにチューンした青緑マッドネスや黒単コントロールに《ミラーリの目覚め/Mirari's Wake(JUD)》、そしてオンスロートのカードを使った新たなデッキ、ゴブリンデッキや《霊体の地滑り/Astral Slide(ONS)》デッキなどだ。
Dave Hanphreysにとっては、デッキを決めるのは簡単だった・・・サイカ以上に、彼のプレイスタイルにぴったりとはまるデッキは無かった。このデッキは前回のスタンダード・マスターズで$15000を稼ぎ、(Ryan Fullerが出場停止を食らったおかげでもあるが)シカゴマスターズへの参加権を彼にもたらした。今回も、彼はためらうことなくサイカを選択した。私は時々彼と一緒に泊まり、彼のデッキの最新バージョンをゲットしていたので、私はそいつをテストプレイすることができ、遅れをとらずにすんだ。私は何か新しいデッキを作成したかったが、それにしくじった場合の頼みの綱は彼のサイカだったのだ。
古いデッキのテストプレイで多くの経験を得たので、私はゴブリンデッキと《霊体の地滑り/Astral Slide(ONS)》デッキを組んで試してみることにした。ゴブリンデッキは素早く、《焦熱の火猫/Blistering Firecat(ONS)》と《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver(ONS)》でびっくりするほどのダメージを与えることができた・・・が、おなじオンスロートブロックのデッキに負けてしまった。《霊体の地滑り》デッキである。
各州のトーナメントで印象的な結果を残していた《霊体の地滑り》デッキは、プレイした感触も印象的だった。強烈なクリーチャーコントロールと《賛美されし天使/Exalted Angel(ONS)》の組み合わせにより、島の入っていないクリーチャーデッキなら簡単にしばき倒すことができた。ただ、このデッキは大きい弱点が2つある。相手のデッキのカウンター呪文に弱いことと、自分のデッキにカウンター呪文が入ってないことだ。青緑マッドネスデッキなら、引き次第でこのデッキを倒すことができるだろう。だいたい、マッドネス側が序盤でこちらの呪文を2回カウンターできればおおかたマッドネスの勝ちだ。また、このデッキにパーミション系呪文が入ってないということから、大コストのソーサリーも問題になる。黒単の《消えないこだま/Haunting Echoes(OD)》は、このデッキのサイクリングカードを全部ライブラリから引っこ抜き、骨抜きにしてしまう。
だがこのデッキにとって本当に脅威なのは、サイカだ。カウンター呪文、手札破壊、そしてテキストに「俺の勝ち」と書いてあるソーサリーの《激動/Upheaval(OD)》の組み合わせはまさしく死ねる。
マスターズでは(他のどんなトーナメントでも同じなのだが)、対戦相手達が何をプレイしてきそうなのかを知っておくことが重要だ。この前のスタンダード・マスターズでは、会場はサイカの海だった。私はラウンド1でサイカを倒し、ラウンド2でもサイカを倒し、ラウンド3でサイカに負けた。決勝戦はサイカ対サイカだった。あれはまさにサイカ祭りだった・・・そして、サイカがそれほどまでに良いデッキであることを考えると、シカゴではもっと多くなるだろうと私は予測した。
みんな分かっているとは思うが、マスターズの選手はトップの中のトップに選ばれ、ことマジックに関してはちょっぴり傲慢になっているふしもある。そんな彼らは、何でもできるコントロール系のデッキをプレイすることを好む。その気持ちとしては、「勝ち筋を作る道具がデッキの中に残っているかぎり、対戦相手よりうまく立ち回り勝利に到達できる」といったところだ。カードドロー能力、カウンター呪文、クリーチャーコントロール、そしてゲームを終わらせる《激動》を備えたサイカは、マスターズ選手たちの心理的傾向にぴったりフィットするんだ。
「サイカが多い」という予想が正しければ、《霊体の地滑り》デッキをマスターズで使うというチョイスはありえない。それに、他の多くのプロ選手たちもこれを使おうと思っていないことがわかった。私には、サイカ、およびこのフォーマットでの速攻デッキ(青緑マッドネス、赤緑、ゴブリンなど)を倒せるデッキが必要だった。で、私が提案したデッキはスタンダードではほとんど注目されていないアーキタイプの白単ウィニーだった。
この構造は奇妙だ。典型的な、ディスカード能力+《栄光/Glory(JUD)》のエンジンが使われていない。というのも、私はもっと典型的な、ノーマッド、《巡視犬/Patrol Hound(OD)》、《栄光》の入ったバージョンから始めたのだが、かんばしい結果が得られなかったからだ。一方、私は、とてもいい動きをした《熟練の薬剤師》デッキを持っていたのだが、黒コンをいかんともしがたいという、オデッセイブロック構築では致命的な弱点があった。私には、サイドボードに《動員令/Mobilization(ONS)》を仕込むことでこの問題が解決されるように思えたので、このデッキをスタンダード用にアップデートすることにした。ここでは、とりあえず各カードの働きについて述べた後、デッキ全体について解説することにする。
このデッキは私がデザインした通りに動いた。ゴブリンデッキと赤緑を粉砕し、マッドネスとサイカとの相性も安定していた。黒コンには1ゲーム目こそ不利だが、サイドボードから入れた《聖餐式》と《動員令》が良く効いた。ところが、なんと《霊体の地滑り》に負けてしまった。《霊体の地滑り》側のプレイヤーがマナソースを全然引かないか、逆にマナソースしか引かないような状況でない限り(訳注:原文は"If the Slide player drew anything but a complete mana stall or flood,…"。"Stall" "Flood"は比喩と考えられる)、デッキがきっちり回ってしまうのだ。これはまずい。
イベント開催の約1ヶ月前、私はMaster Aデッキを作ることができて嬉しかった。そして、今度はZviと共に黒緑リアニメート(《憤怒/Anger(JUD)》用の山1枚入り)を試し始めた。このデッキはちょっと見込みがあったが、第一線級だと思えるほどのデッキにはならなかった。
その後、赤黒リアニメートがマジックオンラインで大ヒットとなった。この件は、私のデッキデザインおよびテストにたいし大きな影響を与えた。一つ目は、この件で他のデッキが墓地対策を用意するようになり、私とZviが研究していた黒緑リアニメートはその意外性の大半を失ってしまったことだ。二つ目は、このデッキが私のMaster Aデッキにとって苦労するデッキタイプであったことだ。私はサイドボードに《朝明け/Morningtide(TOR)》を仕込んでみたが、リアニメートデッキは《強迫》を使ったり、1ターンの間に《生き埋め/Buried Alive(OD)》《縫合/Stitch Together(JUD)》を一気にプレイしたりしてこの対抗策からうまく逃れてしまった。
相性が最悪な対戦相手が1種類だけのデッキを使うのは、やってみる価値のあるギャンブルだと思う。しかし、これが2種類となるとさすがに怖くなってくる。私はMaster Aをしまい込み、サイカを使うことにした。もっと意外性のあるデッキを使いたかったのだが、いい案も無かったし、サイカのテストプレイ結果はとても良好だった。
さて、蓋を開けてみると、マスターズには《霊体の地滑り》もリアニメートもいなかった。一か八かでマスターズにMasterデッキで行くべきだっただろう。まあ、結果論だけどね。(訳注:原文は"Like they say, hindsight is 20-20."「後知恵は視力が良い」という諺)
当ページは、2ちゃんねるの卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。