[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」

偉大なる白の業 〜白は「善い」色か?〜

原文
The Great White Way
著者
Mark Rosewater
訳者
NPCさん
投稿日
2003-02-06
更新
2004-04-12

「白」の週へようこそ! 数ヵ月前、私たちは「緑」の週を実施することにしました。私はその時、これはこのような色特集の最初の週になるということを約束しました。今週はその二番目となる、白の週です。前回にならって、私のコラムでは色の持つ雰囲気と、その理念についての質問に触れていきたいと思います。

緑についてのコラムで述べた通り、私はマジックというゲームのもっとも大切な部分は、カラーホイールにあると信じています。このリチャード・ガーフィールドによるユニークな革新的アイディアは、ゲーム的な機能と雰囲気を繋ぎ合わせるための仕組みです。(そう、機能と雰囲気は共存するものなのです。)ルールについて研究しているルール・グルたちと同様に、WotCにはそれぞれの色の雰囲気の研究を怠らないフレーバー・グルたちがいますし、私もその一人です。今日は皆さんに、白という色の複雑さや豊かさが、どのように表現されるのかを伝えたいと思います。

誰が簡単だって?

カラーホイールの仕事を進めるにあたって、私たちはマジックの5色それぞれについて、次のような質問を設定しました。

その色が配慮するのはどんなことだろう? どんな目的を持っているんだろう?

それぞれの色の理念は、それが何を望んでいるのかに支えられています。それぞれの色は、「世界はこうあるべきだ」と信じるイメージの世界を作り上げようと邁進しているのです。では、白にとっとも価値の高いものはなんでしょうか? それは、調和です。白はみんなが協調できるような世界を望んでいるのです。白は共同体を好みます。白は、全体にとって良いことを望みます。白は全体に気を配ります。白は、みんなが互いに協力し合い、分けあって暮すユートピア的な社会で、最も幸福を感じるでしょう。白の究極の目的は平和です。

ここで白という色と、「善」という概念の関係について、短い余談を挟みたいと思います。善と悪は、人が物事を評価する際、それが自分の価値観を押し進めるものなのか、それともそれを脅かすものなのかを示すために使われる言葉です。それがあなたが信じるものを押し進めるならば、「善」でしょう。あなたの信じるものを脅かすならば、「悪」です。マジックのそれぞれの色は、それが求めるものを強く信じています。ですから、それらは自らを「善」とし、対立する敵を「悪」とするのです。

多くの人間は、大まかな信条を共有しています。(例えば、殺人は間違ったことです。)白の教義のいくつかは、このような人間の一般的な信条と一致しています。それゆえ、白は時折、「善」の色であると見なされます。しかし、白は本質的に善ではありませんし、悪でもありません。白は、マジックの他の色と同様に、善と見なされることも、悪と見なされることも行うでしょう。それがどう捉えられるかも、人によって違うのではないでしょうか。命を守るのは、非常に白らしいことです。皆さんの多くは、これを善と見なすでしょう。国家全体主義もまた、非常に白らしい事柄です。しかし皆さんの多くは、これを悪に分類するのではないかと思います。

私がこのことについて触れたのは、白と黒の相克を、「善と悪」「道徳と奔放さ」「光と闇」「清浄と腐敗」というようなことから分けて考えるべきだと思うからです。白と黒の相克は様々な側面を持っていますが、「善と悪」というような捉え方は、あまりにも主観的すぎて正確ではありません。例えば「全体の権利と個人の権利」という要素を見てみましょう。これは社会主義と資本主義の争いと見ることができます。資本主義は、この議論では黒の側です。資本主義は本質的に悪なのでしょうか? 私はそうは思いません。(もちろん私に反対する人もいるでしょうね。)黒に関しては(その「善い」面も含めて)、黒の週でもっと詳しくお話しします。

その目的を達成するために、どんな手段を使うんだろう?

白はそれ自身を救うだけではなく、世界全体を救おうとしているように見えます。これは非常に大変なことです。いったいどのようにして、平和な世界を作るだけではなく、それを保っていくのでしょうか? その答えは構造です。厳密なルールや法を定めることによって、確実に全てを支配し続けることができるのです。白はこのような法を、二つの異なった領域に広げようとします。

まず一つは、道徳的な法です。白は、道徳とはあらかじめ存在するものだと信じています。正しいことは正しいこと、間違ったことは間違ったことです。個人は正しいことを行う義務を負っています。しかしそれだけではありません。個人は間違ったことを止めさせる義務も負っているのです。白のこの領域に対する欲求は、宗教という手段をもって表れました。

白の二つ目の道具は、社会的な法です。これらは個人が全体の利益に反した行動を取らないように定められたルールです。白は、全体の利益は個人の権利に優先すると考えています。白が定める法は、全体が守られる事を保証するものです。白のこの領域に対する欲求は、政治と司法のシステムとして表れました。

このルールを作り、それを守ろうとする欲求は、白の機能の多くを定義しています。白の守備的な性質は、色全体を通して見ることができます。例えばライフゲイン、ダメージの軽減、攻撃者の除去、プロテクション、防御的なエンチャント、エンチャント除去などです。R&Dはこれまで、白の核となる雰囲気に関連がある機能を探し出すことによって、白の役割を広げてきました。この中で最も豊かであると証明されたのは、白の「ルールを作り出す」という部分です。ですから、私たちはタックシング(《プロパガンダ/Propaganda(TE)》のようなタイプのスペルで、対戦相手が何かする時に対価を支払わせるもの)とルールを定めるエンチャント(《水位の上昇/Rising Waters(NE)》のように、プレイヤーがどのようにプレイするか定めたり、それに制限を加えるエンチャント)を白に移しました。このシフトはオンスロートで部分的に行われていますが、この後のセットにおいて徐々に増やしていく予定です。

白のもう一つの守備的な側面は、平等をたよりにすることです。白は互いの場が同じ状況になるように場をリセットする能力を持っています。このような理由から、白には《神の怒り/Wrath of God(7E)》のようなスペルがあるのです。(そう、あの《ハルマゲドン/Armageddon(6E)》でさえ。)それに加えて、白は攻撃的な側面も持っています。白はルールを破る者たちを、前もって罰するのです。白はその組織を構築する力を、軍隊を組織するために使うことができます。個人の力は弱くても(小さいクリーチャーに頼ることになります)、彼らは互いに組織を形成します。白いクリーチャーたちの能力(先制攻撃、《弩弓歩兵/Crossbow Infantry(7E)》のような射程攻撃、ダメージの軽減、《天使の従者/Angelic Page(7E)》のようなクリーチャー強化など)は、互いにより効果的に働くことを助けてくれます。加えて白には、《栄光の頌歌/Glorious Anthem(UZ)》のように、小さいクリーチャーの軍隊を強化するための最も優れたスペルがあるのです。

白は環境をコントロールすることによって、ゲームに勝利します。守備的な姿勢を取り、敵の脅威を食い止めるための道具を駆使します。ひとたび脅威が封じ込められたならば、白の軍勢は勝利を収めることができます。その時々において、白はその積極的な攻撃を、先制防御策として用いることもあるでしょう。(この戦略は、一般的に「白ウィニー」として知られています。)

その色が表現するのはどんなことだろう?

自然のままを旨とする緑と、育成を重んじる青に挟まれた白は、バランスに優れています。白は過去を尊ぶことの大切さを理解していますし、同時に未来のために計画を立てることの大切さも知っています。他の色に比べて、白は象徴性を利用します。加えて白は、文明の色でもあります。ですから、白が表現するもののリストは他の色に比べて長くなりました。

その色が嫌悪するのはどんなことだろう? 何がそれを否定的な方向に駆り立てるのだろうか?

白は自らの法に従っています。ですから、それに従わない者を許容することはできません。白はそのような反抗を、非常に厳格に見ています。白が伝えるメッセージは次のようなものです。「法を犯した者は苦しむがよい。」

これは白の攻撃的な面が表れる所です。白は、それが悪人と考える者を止める、道徳的・社会的な権利があると信じています。白はこのような者には、先制防御としての攻撃を計画します。今それを止めさせなければ、彼らは後から白の生活を脅かすでしょう。

どうして味方を好み、敵を憎むのだろう?

緑に対しては、共同体の大切さを理解していることから、有効色であると捉えています。緑もまた、個人の利益より全体の利益を重んじるからです。また青とは違って、白は文明と自然を組み合わせた農耕的な生活を許容しています。

青に対しては、自制することの大切さを理解していることから、友好色であると捉えています。白と青は共に、計画と規律に価値を置いています。青はルールの必要性を理解していますし、長い目で物事を見る忍耐強さを持っています。

赤に対しては、社会的な法に敬意を払わないことから、敵対色であると捉えています。赤は混沌を作り出したいときはいつでも、自分が望むことを行います。これは白が切望してやまない秩序を飛び越えてしまいます。もし赤が思うとおりにしたならば、無政府主義が世界を覆い尽くすでしょう。白が平和を得ようとするならば、赤は駆逐されなければなりません。

黒に対しては、道徳的な法に敬意を払わないことから、敵対色であると捉えています。黒は自己中心的に、全体の利益よりも個人の欲求を促進しようとします。個人の欲求を全てに優先させるほど危険なことはありません。黒は除去しなければならない危険な腫瘍です。

その色のもっとも強い力と、最も弱い点はなんだろう?

白の最も強い力は、法を作り、それを保つことに発揮されます。もし白があなたに法をプレイさせたならば、対戦相手はチャンスを見つけることはできないでしょう。白の構造の弱点はその硬直性です。白は自ら定めるのは得意ですが、変化する状況に速やかに適応する能力は持っていません。さらに白は全体に気を配りすぎて、個々への視点をおろそかにする傾向があります。

白の騎士たち

R&Dにおけるカラーホイールに関する議論の間、私たちは色をどのように見ているかを示すために、雑誌から絵を切り取って、巨大な壁掛けのカラーホイールに貼り付けました。緑の週で、このセクションは最も議論の的となると証明されています。もちろん、もう一度行わなければいけないでしょう。これらは私たちが、白に属すると考えたキャラクターたちです。

スーパーマン:

コミックサークルでは「ボーイスカウト」として知られています。スーパーマンはいつもルールに従っています。彼は非常に道徳的です。さらに、彼は他者を守ることが自分の大切な役割だと感じています。このような行動は非常に白的です。

アーサー王:

彼の実践すべき主たる義務は、彼の臣民を助け、保護することです。彼にはさらに、行動を導くための強い道徳規律があります。そして彼は、この保護を構築し維持するために、構造を大規模に利用しました。

マージ・シンプソン(訳注:ザ・シンプソンズのキャラクター。一家の母親。)

私たちが行った楽しいことの一つは、シンプソン一家の人々がどこに属するのかを決めようとしたことです。何回かの議論の後、私たちはマージを白に置くことにしました。彼女は一家の道徳の中心です。彼女とリサだけが、一家の良心のように思えます。彼女は一家に取り決めを広めようとしているようです。また彼女は自己犠牲的と言えるくらい一家を守ろうとします。

ジャン−ルーク・ピカード(訳注:スタートレックのキャラクター。第二シリーズの船長。)

宇宙連邦は非常に白的な組織です。道徳的な中心を持っていますし、ルールを愛しています。ピカードは宇宙連邦にとって優れた戦士です。彼は強い道徳的尺度の持ち主であり、彼の前に敷かれたルールによって人々を導きます。ピカードは構造を楽しんでいます。彼の趣味は考古学であり、それは他の文明の構造を学ぶことなのです。

ヴィラン - ネタバレ - :

(Watchmenというアメコミのキャラクターです。日本語版も出てるらしい。ネタバレだから読んでない人は見るなと書いてあったので略。いやマジすまん。)

A Paler Shade of White

あなたはこれで、白という色を理解しました。この先の「色特集の週」において、私は、黒、赤を考察することになるでしょう。

私が来週までにやらなければならない仕事が終わっていたら、また来週お会いしましょう。

その時まで、あなたが対戦相手をあなたのルールでプレイさせることの楽しさを知ることができますように。

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。