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レギオン・カードプレヴュー:《疾風の番人(仮名)》

原文
Legions Card Preview: Keeper of the Nine Gales
著者
Mike Flores
訳者
高潮の翻訳者
投稿日
2003-01-09
更新
2003-06-23

新しいエクスパンションが発売されてすぐに、トーナメント・プレイヤーが目をつけるような構築戦向きのカードは、おおまかに分けると二種類ある。ひとつは、新しい常識となるカードだ。この分類に入るカードは、既存のデッキから時代遅れの前任者たちを追い落とし、とって替わってしまう。たとえば、ビートダウン・プレイヤーにとって夢のセットだった、テンペストを振り返ってみよう。このセットで最高にいかしてる1マナ・クリーチャーたち――即ち《ジャッカルの仔》と《モグの狂信者》――は、世に出るや反響を呼び、たちまちこの分類におさまって、デイヴ・プライスの1997年合州国チャンピオン・デッキから《ゴブリン穴掘り部隊》と《蛮行ゴブリン》を叩き出してしまった。

あるカードがどんなにおそろしく強く見えても、どんなに並外れて早く見えても、あるいはたとえその両方であっても、それは“単に”新しい常識になり得る。《火炎舌のカヴー》を見てみよう。こいつはことのはじまりから、赤マナを出せるどんなビートダウン・デッキにも入ることは明らかにわかっていた。ズヴィ・モーショヴィッツがPTシカゴで使ってみせたデッキのフィニッシャーは《双頭のドラゴン》だったが、《火炎舌のカヴー》は、そのドラゴンをちっぽけな存在に変えてしまうと同時に、そのデッキにおけるドラゴンのスロットをも奪い取り、「Fires」には欠かせぬクリーチャーとなってみせた。新しい常識となるカードは他にも、デッキの動きをまる1ターン早めたり、前任のカードの使用頻度をまるでスタンダード落ちでもしたかのように下げたり、あるいはあるデッキが環境を支配する直接の力になったりもする。

ところで、構築向きの新しいカードには、もうひとつの分類に含まれるものもある。新しいセットが発売されると、世界中の「ジョニー」プレイヤーたちがまっさきに目をつけるようなカードたちだ。この分類に入るカードは、これまでのカードとはちょっと違ったことだとか、なにか新しいことだとか、あるいはこれまでのカードでは完全にはできなかったことだとかをしてみせる。その結果、強力なドロー・エンジンを作り上げたり、これまではお笑いぐさだった戦略を実現したり、かつて時代を築いたアーキタイプを復活させたりする。この分類に含まれるのは《ヨーグモスの意志》《納墓》《霊体の地滑り》といったカードたちだ。

新エクスパンション「レギオン」は、クリーチャーがテーマだ。というわけで、今回取り上げるのは新世代の《貿易風ライダー》だ。

《貿易風ライダー》は、疑いようもなく、当時の最強のクリーチャーだった。これほど多くのタイプのデッキで、これほど頻繁にプレイされたクリーチャーは殆どいないだろう。トーナメント・リーガルになって最初のプレミア・イヴェントでアダム・カッツがトップ4入りして(※1)から、第一回のマスターズでビリー・ジェンセン(※2)が優勝するに至るまで、《貿易風ライダー》の経歴は本当に輝かしい。《ハルマゲドン》や《冬の宝珠》とのコンボで相手をロックし、《花の壁》との組み合わせで大量にカードをもたらし、パーマネントという形をとるありとあらゆる脅威に対する解答になってくれた(《マローの魔術師ムルタニ》が現われるまでは)。

訳注

※1 アダム・カッツのトップ4:
1998年1月のGPリオデジャネイロ、もしくは1998年3月のPTロサンジェルス。テンペスト発売が97年10月、リーガルになるのが11月からとして、ウィザーズのサイトでその辺を調べた限りではAdam Katzがトップ4なのはそのふたつ。いずれも4位。デッキリストも残ってないので詳細不明(フォーマットも書いてない)。
※2 ビリー・ジェンセンのマスターズ勝利:
2000年のマスターズNY。いわゆる「T・S(Tradewind-Survival)」で優勝。Billy Jensenはちょうど上でも出てますね。「バベル」でGPのトップ8に入った世界で唯一の男(今んとこ)。

その《貿易風》の最新版が、能無しであろう筈はない。

《疾風の番人(仮名)》

2U

クリーチャー――鳥・ウィザード

1/2

飛行

T,あなたがコントロールするアンタップ状態の鳥2体をタップする:パーマネントひとつを対象とし、それをそのオーナーの手札に戻す。

《疾風の番人(仮名)》と御先祖様との、第一の、そして絶対的に最も重要な違いは、そのマナ・コストだ。似たような能力を持ちながら、《疾風の番人(仮名)》は《貿易風ライダー》よりまるまる1マナ軽い。コストが1マナ違うということは、もう少し地味なカード(有用ではある)と、構築戦ではデッキに入らないカードとを分かつのにすら充分以上な差だ。《カーノファージ》と《汚い野犬》、あるいは《鉄爪のオーク》と《ゴブリンの勇士》を比べれば、それは明らかだろう。

4マナのカードと3マナのカードを比較する上では、忘れてはならない要素がある:《極楽鳥》の存在だ。緑のマナ加速クリーチャーが居れば、3マナのスペルは2ターン目にキャストできる。打ち消し呪文をかいくぐって脅威を場に置こうとする時には、これはとても大きな意味を持つ。もちろん、1マナ軽いのだから、《疾風の番人(仮名)》を起動できるのは、大抵の場合御先祖様に比べて純粋に1ターン早いだろう。そしてそのターン以降、対戦相手のマナベースの発展を阻害することができるとなれば……こいつは「素敵な逸品」という他あるまい。

ふたつ目の違いは、《貿易風ライダー》の能力起動に必要なクリーチャーだ。《疾風の番人(仮名)》も自身以外に二体のチームメートが要ることは同じだが、それは両方鳥でなくてはならない。これはさまざまな意味で、この新顔にとっては大打撃だろう。《貿易風ライダー》は、《クウィリーオン・レインジャー》から《真実の信仰者》まで、デッキのデザイナーが望むどんなクリーチャーとも組み合わせて使うことができた。《疾風の番人(仮名)》を使うためには、デッキ全体がそのために組まれていなければならない。

ひとついいニュースはある。往年の《貿易風》戦略には、緑デッキに青を散らして《貿易風ライダー》を入れる、というものがあった。これは《疾風の番人(仮名)》にも合っていそうだ。まずは4枚の《極楽鳥》が入る。上でもふれたように、《極楽鳥》のマナ加速は《番人(仮名)》を場に送り出すのに素晴らしいし、さらに《極楽鳥》自身が鳥であることも《番人(仮名)》のバウンス能力を起動する助けになる。ただ、問題は《極楽鳥》と《疾風の番人(仮名)》だけではバウンス能力を安定して回すことは不可能だってことで、往年は強力なクリーチャーが詰め込まれてたスロットに、《物知りフクロウ》とか《鳴き叫ぶウミタカ》とかが入ってしまう羽目になる。そいつらがただ《番人(仮名)》のオトモダチだってだけの理由で。ま、《物知りフクロウ》は《番人(仮名)》を早く手に入れる助けになってくれるだろうし、《鳴き叫ぶウミタカ》は仲間を連れてきて、能力が起動できることを保証してくれるし、どちらも悲惨ってほどじゃないだろう。せいぜい「ひどい」程度だ。

青単で、既に構築戦レベルにある鳥たちと、《疾風の番人(仮名)》とを組み合わせてデッキを作る試みもみられるだろう。《泥棒カササギ》と《取り憑かれたエイヴン》はそれぞれにトーナメント・レベルのデッキのパーツとして使われたこともあって、レギオン登場後の新戦術の要として用いられない理由はない。ここでひとつだけ指摘しておきたいのは、かように重たい連ればかりでは、おそらく青単《疾風の番人(仮名)》デッキはちょっと動きが遅く、近頃のスタンダードでもエクステンディッドでも支配的になっている《野生の雑種犬》なんかを使う超速攻デッキはさばき切れないだろうということだ。

そんなわけで、これまで述べたふたつよりも、一番よく見られるだろう戦略は、白いデッキでトークン生成カードと《疾風の番人(仮名)》を組み合わせるというものだろう。《疾風の番人(仮名)》は、《物静かな思索》+《金切るときの声》と素晴らしいシナジイを見せるだろうし、エクステンディッドなら《秩序ある渡り》とコンボになる(色もぴったりだ)。つまり、頭に入れておいて欲しいのは、この新参者は強いし、御先祖様より軽いけど、このカードを中心にデッキを組まなくちゃいけないってことだ。《貿易風ライダー》は、どんな種類のクリーチャーとでもコンボになったから、《ライダー》を中心に組まれていないデッキにも投入することができた。《疾風の番人(仮名)》は、そうはいかない。

みっつ目の違いは、サイズだ。《貿易風ライダー》は1/4で、ビートダウン・デッキの大抵のクリーチャーを軽々ブロックできた。《疾風の番人(仮名)》はその半分の1/2しかない。もちろん、《貿易風ライダー》をブロックのために召喚するなんてことはあり得なかったわけだが、それでも《疾風の番人(仮名)》のちっちゃなサイズは、デッキを組む上で、どんなメタゲームの状況であっても、頭の片隅においておく必要があるだろう。

ここまでずらずら書いてきたが、筆者は《疾風の番人(仮名)》は構築戦にも確実に影響を及ぼす、ちょっとわくわくするようなクリーチャーだと考えている。ひょっとすると近い将来、このカードの最大の功績は、デッキビルダーたちに、普通はデッキに入らないようなカードにも無理矢理目を向けさせたこと、になっているかも知れない。ちょうど《High Tide》や《寄付》のような一般的にはクズ扱いのカードが、特定のデッキでは目覚ましい活躍をしたように、今後《隊長補佐カーター》とか《秘教の使い魔》とかが入ったトーナメント・レベルのデッキが出てくる可能性もある。《雲を追う鷲》ですら、万年サイドボード候補を卒業できるかも。繰り返し使える「対象のパーマネントひとつを、そのオーナーの手札に戻す」なんて強い能力が運用できるのなら、ちょっとやそっと他の部分のカードパワーで劣るなんてことは、全然問題にならない筈だから。

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。