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GPランスでのスライ −−その概要−−

原文
Sligh at Reims: An Overview
著者
Kai Budde
訳者
獅子面のネタ師 ◆Neta/Frxv.
投稿日
2002-12-10
更新
2003-06-23

君が、PTQベネチアを通過したいとする。君は、数週間にも及ぶ予選シーズンをプレイすることになるだろう。君は、地道にPTヒューストンのイベント記事を読みあさって、PTで成功したデッキのプレイテストを続けてきただろう。そして君は、GPランスのイベント記事を見て・・・、そこで目を疑ったはずだ。

納墓もない、破滅的な行為もない、ドルイドの誓いもない、魔の魅惑もないじゃないか!

ジャッカルの仔、無謀なる突進、新星の僧侶、レイモス教の兵長、ダースィーの殺害者、そしてうつろう爆発。トップ8のカードが丸々入れ替わっている!

君は、数分間はこう考えたに違いない。「当り運だけでたまたま勝ったんじゃないか」って。そして君は、初日を9-0なデッキを見て驚くだろう。「Dirk BaberowskiとPatrick Mello、どっちもドイツの有名プロだな。使ったデッキは・・・、両方ともほとんど同じ構成の“群衆追いスライ”だ!」

PTヒューストンで活躍したデッキも、全部が負け組というわけではなかった。Bram Snepvangersはマルカで8-0-1だったし、Raphael Levyはアルーレンで8-1を記録している。9ラウンド終了の時点では、ヒューストンで成功したデッキがまだ生き残っている。しかし、さらに6ラウンド経過した後には、それらは淘汰されてしまっていた。Bramはそれでもトップ32に踏みとどまったが、Raphaelはそれにすら届かなかった。

15ラウンドを終えて、13-1-1でトップ通過したのはゴブリンスライのPatrick Mello。12-1-2でそれに続いたのがAlex Mack。古典的なのろ巻ベースのスライだ。Emmanuel Vernay・Benjamin Caumes・Hans Joachim Hoehは12-2-1で予選ラウンドを終了。選択デッキはそれぞれ、スーサイド・のろ巻スライ・白ウィニー。そして、ぎりぎりトップ8に滑り込んだのが Regis Lavoisier(ドラコ)、Christoph Lippert(翻弄する魔道士とファイレクシアの抹殺者と強迫を使った白ウィニー)、Anton Jonsson(サイカトグ)だ。12-3-0ラインの中で唯一トップ8入りを逃したのが、母国フランスのAmiel Tenenbaum、UGマッドネスを使っていた。ここまでが決勝進出ラインだった。

そう、15ラウンドを終えてマルカもリアニメイターもオース系も決勝ラウンドに残れなかったのだ。決勝の3ラウンド経過後、トップ4には1ターン目から生物をプレイするようなデッキしか残っていなかった。スライが1-2-3フィニッシュを飾り、スーサイドが4位となった。

きっと、アメリカやイングランドのどこかでは、Dave PriceやDan Paskinsといったビートダウン中毒者がガッツポーズをしながら、(マルカから)花の壁やスパイクの飼育係を抜いてラノワールのエルフを入れた愚か者達を鼻で笑っていることだろう。

ヒューストンで成功を収めたデッキは、それなりの種類はGPランスに持ち込まれていた。ただ一つ、例外として言えるのがリアニメイターの不在だった。Victor van den BroekやJelger Wiegersma、Nicolas Labarreといったプロ達は、墓地系デッキというカテゴリーの中でも改良版のアングリー・ハーミットを選択した。唯一リアニメーターを選択したJohn Larkinは、7-2-0ラインのタイブレークで2日目進出すらしていない。Larkinを除いては、青黒や黒単のリアニメーターは誰1人使わなかったのだ。オースも大量に存在してはいたが、負け組に追いやられた。何故こんなメタになったか考察してみるに、GPランスはPTヒューストン直後の大会だったからだと言える。PTヒューストンは、史上まれに見るほどのメタが“できあがった”大会であり多くのプレイヤーがメタを見越して戦闘力のあるデッキを持ち込んでいた。馬鹿馬鹿しいほど大量の墓地除去カードがデッキに放り込まれていたし、ビートダウン系のデッキは少数派で、しかも2日目にはほとんど残れていなかった。結果的に、コントロール系のデッキが環境を席巻して、他の遅いデッキやリアニメート系のデッキを叩きのめすことになった。

Justin GaryはPTヒューストンのスイスラウンド中に赤緑の軽量ステロと対戦して負けている。Justinの最終成績は10-1-3であり、その唯一の敗北はステロとの対戦によるものだったが、その他のマッチアップには恵まれたのでトーナメントの勝者となった。このオース対ステロのマッチアップは、理論的にはオース有利に見える。旧エクテンでは、ジャッカルの仔の返しにドルイドの誓いを置いたら、ジャッカルの仔をプレイした側はこの小動物を殺そうとするだろう。オースの飼育係ループに入ったらもう勝ち目がないからだ。これがGary型オースの場合だと、赤使い相手にドルイドの誓いを起動してもあまり嬉しくない。出てきた青ゴイフの脇を、プロ青の危険生物・ゴブリンの群衆追いがすり抜けていってしまうからだ。ドルイドの誓いは、もはや対ウィニー決戦兵器ではなくなってしまった。2ヶ月前とは違うのだ。Gary型オースに関しては、ビートダウンはぜんぜん“お客さん”ではないと言える。

Ruud Warmenhovenは独特のチューンをした青緑オースを用いて、PTヒューストンで16位・GPランスでは10位でフィニッシュしている。彼のデッキのフィニッシャーは幻影のニショーバであり、また、狡猾な願い経由の不断の霞でビートダウンに対抗する。Ruudのヴァージョンならビートダウンに対してなんぼかましだけど、それでもあまりいいとは思えない。マルカや並みのサイカに対しては非常に相性はいいけれど、でもそれだけのデッキだ。

PTヒューストンの2日目では遅いコントロールデッキが主流だったので、多くの人はGPランスも“島と沼で構成された世界”だと想像していただろう。“山”なんて見向きもせず、金粉のドレイクはどのデッキにも標準装備、マルカならDarwin Kastle型をベースに考えていただろう。Darwin型は素晴らしいレシピなんだが、ビートダウン耐性は低くなっている。飼育係も花の壁も抜けてしまっているんだから当然だ。4枚ずつフル装備された強迫と陰謀団式療法は、対スライやスーサイドでは役に立たない。ヒューストンのデッキを完コピしてGPランスに持ち込んだプレイヤーは、さぞがっかりしただろう。そんなマルカはスライに蹴散らされたし、白ウィニーの翻弄する魔道士にすら叩きのめされた。

この連載では、GPで浮上してくるであろう“新しい”デッキについて解説していくこととする。はえある第1号は、最高の成績を残したスライを取り上げる。スライはどこからともなく増殖してきて、GPランスのスイスラウンドと決勝ラウンドを支配した。決勝ラウンドにおいて、スライのプレイヤー3人は、スライ以外に負けていないし、Christoph Lippertの白ウィニー1本ゲームを落とした以外はゲームも落としていない。勝ちぬいたスライはデッキごとに大きくチューンが違ったが、これらは2つのバージョンに大別することができそうだ。

もっともアグレッシブなのが、Dirk BaberowskiとJohn Larkinによってデザインされ、Patrick Melloを3位に導いたゴブリンデッキであろう。

このデッキはとにかくアグレッシブなバージョンで、不毛の大地もリシャーダの港も使われていない。山とダメージを与えるカードだけで構成されているのだ。生物はたっぷり25体、デッキを加速させる8枚のRecklessスペル、そして9枚の直接火力で構成されている。この9枚の直接火力でがブロッカーを速やかに除去してくれる。これ以上ストレートにデッキを組むことができないってくらいに単純明快なデッキだ。

DirkとPatrickは、ほんの少しだけ違うサイドボードを用意した。間違いなく必要だったのは4本の呪われた巻物と、4本の罠の橋、4枚の追加の土地だった。両名とも罠の橋を3本しかとっていないが、これは間違いだったと断言してくれた。近年のエクテンでは、この罠の橋を中心にしてサイドボードを構成する戦術がある。これはリアニメイターやスーサイドに対して有効な戦術で、ダメージを先行した後に罠の橋を展開し、のろ巻と直接火力で削り切るプランになる。黒いデッキはたいていサイドからマスティコアとのろ巻を投入してくるが、この戦術を使えばダメージレースで優位に立つことができる。

もう一方のバージョンは、もっとコントロール寄りだ。このバージョンでは、Craig Stevensonがトップ32に入り、Alex MackがGP勝者となっている。

このデッキは、本当に古典的だ。無謀なる突進すら採っておらず、ボールライトニングを焦熱の火猫に置き換えて、火山の鎚を火葬が占めていたスロットに詰めている。1マナで呼べる16体の生物がダメージを稼ぎ、不毛の大地とリシャーダの港が相手の序盤の展開を遅らせる。序盤でそれなりにダメージを与えたら、焦熱の火猫と直接火力とのろ巻でフィニッシュする。このデッキはゴブリンデッキほど速くないので、マルカやアルーレンやリアニメイターとは相性が悪い。反面、ミラーマッチにはすこぶる強く、またスーサイドにもより勝ちやすい構成である。これはまるで、DirkやPatrickのデッキが1ゲーム目から同キャラサイドをしているような構成なのでゴブリンデッキが鬼回らない限りはまず負けない。

Benjamin Caumesは全く別のルートから、前述の2つのデッキのちょうど中間のようなデッキを持ち込み準決勝でPatrickに2-1で競り勝ち、決勝でAlexに2-0で敗れている。

私見としては、このデッキのアプローチはあまり良くないと考えている。もしゴブリンデッキをプレイするとしたら、不毛の大地もリシャーダの港も特に必要ではない。デッキ全体としては、これらの無色マナ供給源が役に立たないからだ。不毛の大地は、メタ的にアルーレンが多いと踏んだ時か、マルカが特殊地形を大量に積み出した時にやっとスロットを裂く価値の出るカードだ。しかし、そのようなメタだと踏んだ上でゴブリンデッキを持ち込み、しかもRecklessスペルを切ってしまうのは正しい戦略とは思えない。絡みつく鉄線は興味深いカードだが、対戦相手を鈍らせてその間に生物でダメージを与えるよりは対戦相手の場が固まる前に火力で焼き切ってしまった方が、遥かに効果的だと考えている。

あくまで私見ではあるが、スライの中ではゴブリンデッキが最もパワフルなデッキだと考えている。しかし、スライ同士のミラーマッチでは勝てないだろう。個人的なことで恐縮だが、私はスライなんて使おうとは思わない。私のスタイルじゃないからだ。かつて1度だけスライを使って見たことがあるが、その時は惨敗だった。そして、もう2度と使いたくないと思った。スライが良いデッキであることは認める、ただ私のスタイルじゃないんだ。とは言うものの、もしスライをプレイしなければならないのなら、こういうバージョンを持っていく。

土地:23
生物:24
スペル:13
サイドボード:15

このデッキでは、メインにはかなり多めのゴブリンを採っていて、それでいて命知らずを切り、そのスロットをのろ巻に裂いている。そして、のろ巻のために土地を増量することで、ミラーマッチの1ゲーム目の不利を軽減している。サイドはBaberowskiやMelloがGPで採用したのと同様の戦術を採っている。対リアニメイトやスーサイドでは罠の橋をサイドイン、対マルカでは2枚の士官候補生と3枚の赤シール、2枚の溶岩使いを抜いて、2枚の港と3枚のドラゴンと2枚の溶岩の投げ矢をサイドインする。

上に挙げたレシピは、まだ不完全だ。幸いなことにDan Paskinsが詳細な戦略記事を書いてくれる事になっているので、彼の描く別の赤デッキに期待しよう。(ちょっと宣伝、http://www.brainburst.com/db/article.asp?id=2582を参照して欲しい)彼はこのスライというアーキタイプの長所短所を知り尽くしているので読み応えがあるはずだ。私自身としては、数多くのスライを相手にしてきた経験からこの記事を書いている。私は、赤いデッキを使うよりも、むしろ赤いデッキを使われる立場にある。つまり、私は赤使いにどんなカードを使われたらイヤかを知り尽くしている。

この連載の今後の展開として、GPランスでトップ8位入りした2種類の白ウィニーについての記事と、私自身が持っていったマルカ(およびそれを今後どう調整すべきか)についての記事を書くつもりだ。来週には書き上がると思うので楽しみにしていて欲しい。

翻訳内容は、獅子面のネタ師◆Neta/Frxv.の脳内変換されたものであり原文記事の内容を正しく捕らえきれていない場合があります

原文との併読をオススメします。原文はこちらです

http://www.wizards.com/default.asp?x=sideboard/strategy/20021209a

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。