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ライアン・フューラーインタヴュー

原文
Interview with Ryan Fuller
著者
Tony Pagliocco
訳者
高潮の翻訳者
投稿日
2002-11-28
更新
2003-06-29

マジック・ザ・ギャザリングの世界には、誰もが認める「善人系」と「悪役系」が居る。頂点を目指している点では同じであっても、通る道はひとりひとりばらばらなものなのだ。

ニューヨーク・ヤンキースのファンはよくこんなことを言う:「選手は最後の打席で評価されるんだ」。それと同じで、マジックでは、プレイヤーに対する評価は一番最近の大きなトーナメントでの成績で決まりがちだ。キャリア全体での戦績が評価されることは、滅多にない。

筆者はマジックにおける「悪童」のひとり、Ryan Fuller(以下それぞれ「ライアン」「フューラー」とすると話をする機会を得た。「悪童」のイメージについてや、ライアンが今何をしているのか、一連の事件当時何が実際には起きていたのか、といった誰も語ろうとしない事実について、明らかにする心算でインタビューに臨んだ。話してみる前は多少ナーヴァスになっていたが、終わってみると、ライアンの人生やマジックに対する考え方がいくらかは理解できたように思っている。

――ライアン、今日はインタヴューのために時間を割いてくれて有難う。

Ryan Fuller(以下RF):

「いやいや」

――多くの人は君が誰だかは知ってるけど、君については実際何も知らないと思う。記事の端っこで見かけることより、君の口から語られたことの方がみんなも信用すると思うんだけど。

RF:

「なるほど。じゃあ基本的なとこから始めると、歳は22で、バンクーヴァーに住んでる。マジックはザ・ダークからやってる。“ミシュラズ”って店でやってたんだけど、プレミアイベントのトップ8に送り込んだプレイヤーの数では、長いこと“ニュートラル・グラウンズ”の次に多かったんだよ。Pete Randonjic、Terry Lau、Terry Tsang、Jay Elarar、Jeff Cunningham、Mike Gurney、Jeff Fung、あと俺……そんな感じのメンバーが集まってた。PTサンディエゴではトップ16に4人入ったんだ」

――じゃあ、最近はどうしてる? マジックはやってるのかい?

RF:

「仕事を始めて、カレッジにも通ってるんだ。ダウンタウンの海岸に部屋を買って。マジックについては、とにかく12月までは考えないことにしてる。12月になったら、Benafel(以下「ベナフェル」)をつかまえて、新しい環境がどうなってるのかを叩き込んでもらう。それで、ベナフェルのやってることを全部コピーして。それで、再出発だ」

――君が出場停止になった時のことなんだけど、DCIは君を“あげる”ことを狙っていたと思う?

RF:

「あきらかにそうだったね。俺は状況証拠以上のものを持ってるけど、くそったれなことに今更それが俺にプラスに働くとは思えないんだよ。あいつらはおれが何もしなくても処分できるんだってことを既に証明してる。だから、具体的なことは俺の胸のうちにしまっとくよ」

――マジック界で、一番過大評価されてるプレイヤーは誰だと思う? 理由も聞かせてくれ。

RF:

「一番過大評価されてる? うーん、Gary Wise(以下「ゲイリー・ワイズ」とする)はマジックのようなゲームをやるのに向いてる神経の持ち主じゃないと思うけど。あの人がきれてるとこ十回以上は見たことあるからなあ。あとはKai(訳注:Kai Buddeのこと)かな。Kaiは凄いよ、それはわかってる。ただ、あの人のプレイを見てても、全盛期のFinkel(訳注:Jon Finkelのこと)みたいな創造性が感じられないんだ。まあ、ぶっちゃけて言えば、誰も完璧にはほど遠いんだと思うよ。誰ひとり、このゲームをマスターするってレベルには近付いてすらいないんだ。俺や俺の仲間も結構いいとこまでは来てると思うけど、まだまだやれた筈だった事はいくらでもある。プレイテストなんていつも真剣にやってたとは言い難いし」

――では、一番過小評価されてるプレイヤーは?

RF:

「ふむむ、そんなにマジックをしょっちゅう見てるわけじゃないからなあ。でも、Noah Boeken(以下「ノア・ボーケン」とする)は最高のデッキをドラフトするよ。どのドラフトでも凄いデッキを作る。それにプレイングも素晴らしい。チーム戦では俺とChris(訳注:Chris Benafel。もちろん上の「ベナフェル」と同一人物。統一してほしい)を引っ張ってくれる。あとは、Franck Canu(以下「フランク・カヌー」とする)のプレイングもちょっと尊敬するよ。5色デッキとかドラフトしちゃうんだけど、それでも勝つからね。PTR(訳注:Peter Szigeti)もなかなか凄い時があると思う」

――今年の世界選手権ではどのチームが勝つと思う? カナダは今年はやるかな?

RF:

「オランダでしょ。そもそも世界中でマジックが一番強いかも知れない国だし、おまけにあのメンバーなんだから。アメリカチームがそれほど強いとは思えないし。カナダがやるかって? それだけはないね。でもJurgen Hahnはちょっと面白い子だよ」

――さて。率直に訊こう。君のDCIレコードには、それぞれ別のイベントでの三つの事件が記録されてる。君は実際にやったの? やったのだとしたら、何故?

RF:

「うん。このことについて話すのは初めてだ。まず、最初の事件ってのは何年か前のPTロサンジェルスでのこと。俺はNicolai Herzogとの試合の前にコイン・フリップを申し出たんだ。もしこの試合が引き分けそうだったら、そのコイン・フリップに負けた方が投了する、っていう。当時のヨーロッパのグランプリではこれは完全に合法だったんだよ。

それが、ちょうどそこに座ってマッチ・リポートを書いてたRandy Buehlerがジャッジ・ステーションにそれを知らせに行って、俺は失格。あとで、ルールは別に変わってなくて、ただジャッジたちが間違ってたんだってことで、Wizardsはその判定が不当だったって認めたんだ。俺は賞金ももらった。

二番目の事件は、まったく俺が莫迦だったっていう以外にないね。南アフリカでの大会で、これまでの人生で一番楽勝だったトーナメントだった。初日に3ラウンド負けてもトップ8に残れたんだ。で、席について、“向かいに座った人とデッキを交換して下さい”ってアナウンスがあった。そしたら俺の向かいに居た子が“このデッキを使ってもいいかな”って言うから、つい“いいよ”って言っちゃったんだよ。俺はShvartsman(訳注:Alex Shvartsman。以下「シュヴァルツマン」とす)と対戦して、あと1ターンで勝ちってとこまで行ってたんだけど、そこでマッチ・ロスを頂戴しちまった。デッキ交換に参加しなかったってことでね。

それが10月のことで、Wizardsの連中は協議の末にこの時点では俺を出場停止にはしないことに決めた。

三番目の事件はほんとにくそったれな話だ。俺はCuritibaであんまり速くプレイし過ぎるってんで注意(warning)を受けたんだ。残り時間は一分で、対戦相手の野郎は全く勝ち目のないゲームを長引かせようとしてるだけだった。なのに俺がウォーニングだよ。おれはできるだけ速く試合を進めようとして、相手はできるだけ遅らせようとしてたってのに。テーブル・ジャッジは全く腐った奴で、まるで助けにならなかったどころか、言うことなすこと全部俺の不利になるようなことだった。

そんな状況で、プレイが速すぎるってんで俺は結局ゲームロス。シュヴァルツマンの友人のJustin Polinて奴が一部始終を観てたんだけど、ジャッジはそいつにはインタヴューもしやがらないんだぜ。ジャッジのやってたことはひとつも正しくなかった。俺は生まれてこの方あんなにひでえ目に遭ったことはなかったよ。

で、俺はDCIに『非スポーツマン的行為』とやらで出場停止にされたんだ。おれはその名目では注意すらもらったことがなかったのにね。Curitibaでの『非スポーツマン的行為』事件が直接の引き金になったってことになってるけど、ヘッドジャッジだってあの注意を正当だとは思ってない。まあでも、俺はそれから一ヶ月は大会に出ることが許されてて、ちょうど出場停止になる直前の週末に、29000ドル稼いでやったよ。我ながらタイトだよな =) 」

――君は実績をあげて、熟練したプレイヤーだとみなされてるけど、自分は若い子たちの手本になるようなプレイヤーになるべきだと思ってる?

RF:

「周りの人が俺について何を知ってるか、俺にはわからないからね。多分、みんなの想像する俺はほんとの俺とはかけ離れてると思うよ。俺はゲーム中とそれ以外じゃほんとにまるっきり違う人間なんだ。だから、俺についてインターネットなんかで言われてることを鵜呑みにして、それを目標にしようとなんて考えない方がいいと思う。

俺は金だけのためにマジックをやってるって言われるのが嫌なんだ。全然違うよ! 俺は5年前とおんなじ風にマジックが大好きなんだ。俺はずっとスポーツをやってきた――主にホッケーだけど、ラグビーや野球もやったよ。そもそも勝負事が大好きなんだ。

マジックを、チェスとかゴルフみたいにやる必要はないと思う。ギャラリーのみなさんお静かに、なんて風にはね。俺はトラッシュ・トークが好きだし、プレイしてると興奮してくるし。時々は感情的になり過ぎるかも……まあ、とにかく金のためにやってるんじゃない。戦うためなんだ」

――マスターズの賞金25000ドルは何に使った? 合衆国で言えば400万ドルぐらいの価値はあったと思うけど。

RF:

「出場停止になるまでに、去年だけで85000から90000ドルは稼いだと思う。アウディA4を買って、海外旅行に行って、ダウンタウンの海岸沿いにいかす部屋を見つけて。学校に行って、仕事はちょっとだけして、みたいな感じだね」

――もしカナダ・ドリーム・チームを自由に組めるとしたら、誰を選ぶ?

RF:

「俺、Jay Elarar、ゲイリー・ワイズ。最高に可笑しいトーナメントになるだろうね」

――DCIに対して、なにか言いたいことはある?

RF:

「何かをDCIにアピールしたいんだったら、俺とおんなじ目に遭ってる奴を他にもつかまえられると思うよ。なんでそんなことになってるのかわからないけど」

――大きなトーナメントの前にはどんな準備をする?

RF:

「俺が30連勝(GPプラハを勝ち、マスターズ東京のゲイトウェイを勝ち、PT東京でも14−0を成し遂げ、マスターズ本戦でも2連勝した)した時は、その前の一ヶ月ぐらいは練習しまくってたよ。その頃はアムステルダムに部屋を借りてて、そこでRuel兄弟(訳注:Antoine RuelとOlivier Ruel。ペンギンに育てられたことで有名。)やらフランク・カヌーやらKamiel Cornelissenやらノア・ボーケンやらと来る日も来る日も延々とプレイテストをやってたんだ。みんな相当強くなってたと思うよ。それぐらいやらなきゃ駄目なんだ。まあ、大抵の人はそこまでやらないし、やらない言い訳を作っちゃうんだよ」

――誰かと対戦するために向かい合って座る時、何が君の精神的な武器になってると思う?

RF:

「俺の肝が据わってることと、誰も俺とは当たりたくないと思ってることかな」

――“トラッシュ・トーク”とか“相手のペースを乱す”とか言った分野で一番のプレイヤーは誰だと思う?

RF:

「そりゃ俺でしょ。で、二番目はベナフェルだね。ひとたびタガが外れたら、はたで見てても正気とは思えないほど可笑しいよ。マイク・ロングも好い線行ってるね」

――ライアン・フューラーの将来と、マジックの将来について一言。

RF:

「将来に関しては疑問符だらけだね =) 」

――あらためてありがとう、ライアン。楽しいインタヴューだったよ。

RF:

「どういたしまして」

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。