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無限のかなたに――みなさん、エンジンを動かす時です!

原文
To Infinity and Beyond
著者
Mark Rosewater
訳者
タイ屋
投稿日
2002-11-19
更新
2003-06-29

マナ・エンジンの週にようこそ!

今週私たちは、果てしない量のマナを作ることのできるカードコンボを探究していくことになるでしょう。他のライターたちもまた、今週はそのような、とても数字の多いコンボを探究することになっています。私の場合は、「無限の」マナエンジンに関係した、一般的で多くの人の持つデザインについての質問に答えるために、このコラムを使おうと思っています。

質問 # 1 − なぜあなたは無限コンボを作りますか?

最初に、私がどのようにカードをデザインするかについて話させてください。ですが、私の回答は全般的なデザインの過程に対する認識をもたらすだろうとも思っています。さて、私が「私」を使っているのに対して、その背後には、「われわれ」がいるというのがヒントです。

答えは、私は無限コンボを作らないということです。――少なくとも、みなさんの大部分が考えているようなやり方では。

「デザイン」とは、制限のない状態でカードを作ることです。私は、カードのコンビネーションよりも、個々のカードに対して集中しています。このことを説明する最良の方法は、メタファー(比喩)を使うことです(そして、私のコラムを長い期間読んでいただければ分かるでしょうが、私はメタファーが大好きです)

私の好みは、デザイナーを、「道具を作る人」だと考えることです。私たちの仕事は、おもしろくて有用な道具を作ることです。私たちの仕事は、道具を使うことではないのです。それは、職人(別名あなた方全員)の仕事です。自分の作った道具の有用性を最大限にできるように、職人たちが何を欲しているのかを理解することは重要です。ですが、私たちがエネルギーを集中させるのは、結局はよりよいハンマーを作ることであって、ハンマーの新しい使い方を考えることではないのです。

デザイナーとしての私のコンボへの責任は、言葉通り「制限のない状態」であるのです。それは、私にとってどんな意味でしょうか? それは、私はカードが他のカードとシナジー(相乗作用)を持つように意図することを意味します。特定のカードではなく、一般的なタイプのカードについて、です。私は他の道具と一緒に上手くかみ合う道具を作りたいのです。ですが、私はそれぞれの新しい道具が正確にはどの道具と一緒にかみ合うかとか考えてのんびり過ごしたりはしません。実際、デザイナーにとっての興奮の一部は、世界が新しいカードを手に入れたときに、それをどうするのか見ることなのです。

良い例はテンペストの《Hand to Hand/白兵戦(TE)》です(2赤、エンチャント(場)「インスタントと起動コストをともなう能力は、戦闘の間、プレイできない」)。私はカードが「戦闘でオレのクリーチャーを邪魔をしないでくれ」というようなカードであるようにデザインしました。しかし、トーナメントプレイでは、それはある特定の白いデッキに対抗して、赤いデッキのサイドボードカードとして使われたのです。それは能力を戦闘の間起動できなくさせるので、白いデッキのプレイヤーの《赤の防御円/Circle of Protection:Red》の起動を阻止したのです(※5版ルール下では、防御円はダメージを受けたときでないと起動できなかった)

私がカードを作ったときに、このアイデアを念頭に置いていたでしょうか? こたえは、ノーです。では、私は使用法の変化を嫌だと思ったでしょうか? それも、絶対に違います。実際にみなさんが、私が一度も考えたことがなかったカードの使用法を発見したことでうれしかったです。

デザインというものは、本来、デッキ志向ではないのです。その理由は、トレーディング・カード・ゲームのモジュール式のデザインにあります。トレーディング・カード・ゲームを生かすも殺すも、カードをおもしろいコンビネーションで混ぜ合わせるというところによるのです。この点を最大限引き出すために、デザイナーは相互作用を持つ部分を最大にしたカードを作ることが重要です。だから、私はカードを作るときに、どんなデッキがそのカードを使うだろうかとか考えて大量の時間を費やしたりはしないのです。

私は単に一般的に有用なカードを作って、そしてプレーヤーがその使い方を見つけだすだろうと見ています。これはすべてのカードがトーナメント級の使い道を発見できるだろう、という意味ではありません。そして私が悪いカードに関する記事で説明したように、すべてのカードが、入るデッキを見つけられるわけではないのです。けれども、制限のない状態で行われるデザインが、カードの柔軟性を増やすのです。

要約すると、私は(デザイナーとしては)他のカードと一緒になって上手く働くカードを作ったという意味では、コンボに対する責任はあります。ですが、私は普通は、コンボで一緒に使うための2枚のカードを特にデザインする、というわけではないのです。

質問 # 2 − あなたは無限コンボが好きですか? あなたはそれが存在することがうれしいですか?

この質問への答えはR&Dの内部でも、少しずつ違っています。そこで、私は自分の考えを説明するつもりです。私は無限コンボが好きです……適度な場合は。

私が前に説明したように、マジックは異なったタイプのプレーヤー(「ティミー、ジョニーとスパイク」※)に分かれています。(※ジョニーはカジュアルでプレイすること自体を楽しむプレイヤーで、スパイクはトーナメント指向。記事の日本語版については、3月11日のhttp://members.jcom.home.ne.jp/0940540901/oldnews200203.htmlを参照)

私は無限コンボがジョニーにはいいけれども、スパイクには良くないと信じています。ジョニーは、マジックデッキを使ってできる(変わった)ことを見る(見せる)のが好きです。スパイクはただ勝つことを望みます。無限コンボは、ジョニーに対しては、奇妙でクールなことをする能力を与えます。スパイクの手にある無限コンボは、問題を引き起こします。

(どういうことか)説明しましょう。コンボデッキには2つのタイプがあります:速いコンボと遅いコンボとでも呼びましょうか。速いコンボは、対戦相手が何かできるよりも速く、コンボに入って勝ってしまうのです。そんなものは、マジックを一人遊びのゲームに変えてしまいます。マジックは、プレーヤーの相互作用があることが前提となっています。したがって、速いコンボがプレーされるとき、ゲームのおもしろさは減少します。

この最悪の実例は「コンボの冬」と呼ばれた1998年のある時期でした。ウルザズ・サーガブロックの中のある特定の悪質なカードのために、ゲームに1ターン目とか2ターン目とかで勝てる環境を作り出してしまったのです。(その時の最も有名な物語の1つが、ブライアン・ハッカーが1ターン目に《Gustha's Scepter(AL)》だけをプレイして、それから2ターン目にゲームに勝ったことです)当時の冗談で、マジックが違うゲームになってしまった、というのがありました。ゲームの序盤とは、コイントスをして、誰が先攻かを確認することでした。ゲームの中盤とは、初手を見て、マリガンするかどうか決めることでした。そして終盤とは、第1ターンのことでした。

(これに対して)遅いコンボは、パーミッションデッキとほとんど同じように働きます。プレーヤーは、ゲームのコントロールを得なければなりません。ひとたびそうできれば、勝つためにコンボを使います。私は遅いコンボは楽しみであり得ると思います。それは、ゲームから対話型の要素を取り去ったりはしないのです。特定の遅いコンボにおける唯一の問題は、それが勝つためには、あまりにも長い間かかるということです。

このことが意味するのは、上に挙げた少数の例外を除いては、普通、無限コンボをスパイクに向けたものにしたときには、問題になるということです。それで、R&Dは、この種のカードを、スパイクよりもジョニーに向けたものとする傾向があります。時折、スパイクはそれらの使い道を発見するかもしれません。ですがそのときも、それらのコストは早いコンボでなく遅いコンボになるための、十分に重いコストになってるのです。

質問 # 3 − どのようにあなたは無限コンボカードをデザインしますか?

私たちは、特に狙ってコンボカードをデザインすることはありません。ですが、「コンボ要因(combo enabler)」と私が呼ぶようなカードをデザインすることはあります。これらは、コンボを作るためのチャンスを増やすようなカードです。それらのカードを4つのカテゴリーに分類してみましょう。:

最初は「エンジン」カードです。

エンジンカードは、1つのリソースを別のリソースに変換するためのカードです。多くの場合、エンジンカードはパーマネントですが、常にそうだというわけではありません。

これが、過去存在したエンジンカードのいくつかの例です:

《Channel/チャネル(4E)》 −
ライフをマナに変換します
《Necropotence/ネクロポーテンス(5E)》 −
ライフをカードに変換します
《死体の花/Cadaverous Bloom(MI)》 −
カードをマナと交換します。
《貴重な収集品/Treasure Trove(7E)》 −
マナをカードと交換します
《Peace of Mind/安らぎ(EX)》 −
カード(とマナ)をライフに変換します
《Dream Halls/ドリーム・ホール(ST)》−
カードを、そうですね、ほぼ何にでも変換します
《大地の知識/Earthcraft(TE)》 −
クリーチャーの利用性(アンタップ状態)をマナと交換します。
《精神力/Mind Over Matter(EX)》 −
カードをマナ/アンタップと交換します。
《資源の浪費/Squandered Resources(VI)》 −
長い目で見たマナを、その場で大きなマナに交換します。

エンジンカードがコンボ要因である理由は、それらが互いに補給し合う傾向にあるからです。多くの無限コンボは、交換の過程で多少のボーナスの利益を上げながら、同じリソースへ戻ってくるように繰り返し交換することで生み出されています。デザイナーとして、私はエンジンカードには特に魅力を感じます。だから、私の割り当てよりも多く作り出してきました。

教示者

教示者は、特定のカードをあなたのライブラリからサーチできるようにするカードです。教示者は無限コンボにとって(そして一般的なコンボにとっても)重要です。そのコンボのために必要なすべてのパーツを集めることができるからです。

過去の教示者の例:(大部分は、名前のどこかに教示者とついています)

カード・ドロー・カード

これらのカードは、エンジンカードと教示者カードの中間のような存在です。それらは、マナをカードの変換して(エンジンの部分)、あなたがコンボパーツを引けるようにします(教示者の部分)。

過去のカード・ドローの例:

マナジェネレーター

これらは、あなたのマナをスピードアップするのを助けてくれるカードです。それらは、高コストのエンジンカードとカードドローを通常よりも早く使えるようにして、コンボを可能にするのです。

過去のマナ加速のいくつかの例:

ウルザズ・サーガブロックの教訓は、これらのタイプのカードを、慎重に扱わなくてはならない、ということでした。私たちは依然として大量のエンジンカードを作っていますが、今ではそれらのコストを、ずっと保守的なやり方で決めています。私たちは教示者カードを減らしました。私たちはカードドローを弱めました。そして、私たちは、マナジェネレーターを作る際には、非常な注意を払っています。

(とはいっても)コンボカードの愛好家の方々が、完全に心配する必要はありません。みなさんは、近年、R&Dがウルザズ・サーガ・ブロックの狂気のようなコンボに対して行った反応を目にしたと思います。そういうわけで、私たちはコンボ要因に対しては、特に用心深かったのです。

けれども時間は経過しましたし、私たちは多少手綱を緩め始めています。第2の「コンボの冬」を恐れる必要はありません。一方で、私は、近いうちにコンボ指向のデッキが、時々はトーナメントシーンのトップに現れ始めるとも確信しています。

質問 # 4 − 無限は、マジックではどのように働きますか?

私は悪いニュースから知らせるべきだと思います。(実は)マジックには無限はありません。それで、「無限マナ」という用語を聞いたときでも、それは本当は「有限の、しかし非常に大きい量のマナ」を意味します。

「無限」という言葉に比べると魅力的ではない、ですか?

ともかく、仮想的には無限の数の効果を作り出すカードのコンビネーションを手にしたときに、何が起きるのでしょうか? 幸運にも、マジックの詳細ルール(Comprehensive Rules)には、実際に無限ループを処理するための専用のセクションがあります。:

421. '無限'ループの処理

421.1. 稀に、一群の行為が永久に繰り返される状態にゲームが陥ることがある。この種のループを中断する方法を「無限ルール」として規定する。

421.2. ループが、選択可能な行動を一つ以上含み、一人のプレイヤーがそれをすべてコントロールしている場合、そのプレイヤーが回数を選ぶ。ループはその回数、但し途中で他のプレイヤーが介入した場合はその時点まで、繰り返したものとみなす。

421.3. ループが、各プレイヤーがコントロールする選択可能な行動を少なくとも一つ含み、ループを続けるには双方のプレイヤーによる行動が必要である場合、アクティブ・プレイヤーが回数を選ぶ。アクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーにはここで2つの選択肢がある。

例:
あるプレイヤーが、「(0):[クリーチャー名]は飛行を得る」という能力を持つクリーチャーをコントロールしており、他のプレイヤーが「(0):対象のクリーチャー1体は飛行を失う」という能力を持つパーマネントをコントロールしているとする。「無限ルール」により、どちらのプレイヤーから飛行を得る/失う能力のループを始めたとしても、アクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーが最終的な決定権を持ち、よってそのクリーチャーが飛行を持つかどうかを決めることができる。(但し、この例は、最初のプレイヤーが少なくとも一回、そのクリーチャーに飛行を与えようとしたと仮定していることに注意すること)

421.4. ループが選択できない行動のみからなる場合、ゲームは引き分けとして終了する(rule 102.6 参照)。

421.5. ループが、各プレイヤーがコントロールする選択可能な行動を少なくとも一つ含み、これらの行動が互いに依存していない場合、アクティブ・プレイヤーが回数を選ぶ。アクティブ・プレイヤー以外のプレイヤーはその回数に合意してもよいし、より多い回数を選んでもよい。このルールは、それらの行動が一つのループでなく別々のループに存在する場合でも適用されることに注意すること。

そして、ビートは続く。

今週のコラムによって、R&Dが(あるいは、少なくとも私が)どのように無限コンボを見ているか、多少ともあなた方に理解してもらえたのであれば、幸いです。

来週は、私が犯したミスについて認めるでしょう(この記事のスレッドで、お楽しみに)

その時まで、あなたは対戦相手に100万点以上のダメージを与えることの楽しさを知っているかもしれませんが。

マーク・ローズウォーター

いつもなら、ここで私の記事は終わったはずです。しかし私は、無限コンボをあつかった無限の記事を作るという誘惑に抵抗できませんでした。もしこのアイデアをあなたもおもしろく感じたのであれば、>>605をクリックしてください。

出典:
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/mr45
原題:
To Infinity and Beyond
副題:
Gentlemen, start your engines(※インディ500とかのレースの開始の掛け声)
原著:
Mark Rosewater
翻訳:
タイ屋
参考:
詳細ルール ttp://judge.magic.asuka.net/data/CompRules_j.html

総合ルールの訳文はいっそ省こうかとも思ったけど、こういうルールを広めることも記事の目的の一部だろうからと思ったので入れることに。さすがに自分で訳すのはだるいので引っ張ってきた。

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。