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オンスロート・カード・スポットライト:紛糾

原文
Onslaught Card Spotlight: Complicate
著者
Brian Kibler
訳者
高潮の翻訳者
投稿日
2002-10-13
更新
2003-06-29

トーナメント会場でのお遊びフォーマットとして「ファイヴ・カラー」(または「DC−10」。所謂無限マナマジック)が大流行するはるか前、2対2や3対3のブースター・ドラフトがプロ/アマプレイヤーの気晴らしになるよりもさらに昔、「メンタル・マジック」ってフォーマットがあった。単純で、エレガントで、マジックの知識を真に問われるメンタル・マジックは、構築戦やリミテッド戦の約束事を打ち破りながら、マジック本来が持っている様々なレベルの戦略が活かせるフォーマットだった。トーナメントのラウンドの合間に、熱心なメンタル・プレイヤーたちは裏向きに置いたカードをテーブルに並べ(誰も変異なんて概念は聞いたこともなかった)、観戦者たちはそれ以外の表向きのパーマネントを、そのマナ・コストだけを手がかりに何であるか見分けていた。

このフォーマットのプレイヤーは近年確実に減りつつある――だけど、中にはメンタル・マジックは最高に面白くて挑戦しがいのあるゲームだと未だに信じてるプレイヤーも居る。僕もそのひとりだ。フォーマットを知らない人のためにここでルールを説明しておこう。メンタル・マジックは、普通のマジックと基本的なルールは同じ。ただし、あらゆるカードは、全ての色を生み出す土地として使うこともできる。この場合は裏返しにして場に置く。呪文として使う時は、そのカードのマナ・コストと同じマナ・コストを持つ呪文なら何としてプレイしても構わない。つまり、マナ・コストが(緑)のカードであれば、《ラノワールのエルフ》としてプレイしてもいいし、《極楽鳥》にしてもいいし、《巨大化》でも、《踏査》でも、《ミリーの悪知恵》、《エメラルドの魔除け》、《メテンダ・ライオン》……とにかく、なんでもいい。ただし、ひとつ制限があって、同じ呪文は1ゲームに二度以上プレイできない。対戦相手が《極楽鳥》を出してきたら、君はもう《極楽鳥》はプレイできないんだ。同様に、対戦相手も二羽目の《極楽鳥》をプレイすることはできない。

全てのカードがこのような「融通性」を持っているから、メンタル・マジックのゲームが早期のビート・ダウンで決まることは滅多にない。なにしろ、土地事故だとか、除去を全然引かないとか、クリーチャーを全く展開できないだとかいうことは、よっぽどヘンテコなマナ・コストのカードを引き続けでもしない限り、このフォーマットではあり得ないからだ。だから、メンタル・マジックは長期戦になる。お互いのプレイヤーは、カード・カウントを稼げる脅威を送り出そうとしたり、相手の脅威を自分のキャントリップで取り除こうとすることに必死になる。おかげで、《Pyknite》が攻撃して《Carrier Pigeons》にブロックされ、そこで一方のプレイヤーが打った《野生の衝動》を相手は《打破》で打ち消そうとして、さらに《Burnout》で打ち消される……なんておかしなシチュエイションが、結構よく起きる。

#訳注

《Pyknite》:3マナ1/1。場に出た時カードを1枚引ける。

上の「カード・カウントを稼げる脅威(原文ではthreats that replace themselves)」ってのはこの類のカードのことじゃないかと思うんですが、ちょっとわかりません。というかこの辺りを見て上の訳を考えたので、訳が正しいかどうかも不明です。

ちなみにその後応酬されてる呪文は全部キャントリップです。

わかってきたかな? 上で挙げたのはメンタル・マジックでは常識の範囲のキャントリップ、それもほんの一部に過ぎない。みんな悠長なカードだけど、こいつらが確実にゲームを左右する。《Pyknite》と《シマクマ》と《北極狼》辺りを並べられればもう上等で、早晩君は脅威となる手札の束で、高々2、3枚の手札で頑張ってる対戦相手を圧倒できるだろう。メンタル・マジックではそれほどキャントリップは重要だ。だから、自分でキャントリップを打つだけじゃなくて、相手のキャントリップを避けるプレイングも同じくらい重要だってことは知っておこう。タフネス1のクリーチャーは《加撃》や《火炎》の絶好の的だ。エンチャントやアーティファクトは《オーラの旋風》とか《ウークタビー・オランウータン》に狙われる。白や緑のクリーチャーは《処刑》《殺戮》、さらに《霊魂奪取》なんてカードまである。2対1交換は避けなくちゃいけない。このフォーマットには無駄カードは基本的に存在しないからだ。

さて、このフォーマットで一番重要なキャントリップは、ちょっとマイナーな――メンタル・マジック界以外ではマイナーなんだと思う――アイスエイジの打ち消し呪文、《Force Void》だ。この呪文の序盤における存在感はでかい。タップアウトしてキャストした呪文が、打ち消された上に相手にカードを1枚引かれるなんてひどい状況はちょっとないからだ。《撹乱》でも似たようなことは起きるけど、ソーサリーかインスタントにしか効かないし、コストが(青)のカードは(2青)のカードに比べるとはるかに少ない。《撹乱》にやられる可能性は《Force Void》よりずっと低い。

《Force Void》のおかげで、このフォーマットでは、相手の土地が3枚起きてる限りは決してタップアウトしない、という定石ができている。だから、先手が1ターン目に失うカード一枚分の不利はほぼ帳消しになる。相手の土地が3枚並ぶ前にスペルをプレイできる機会が1回多いからだ。インベイジョン・ブロックで、“熊”(2マナ2/2)に《除外》を打たれる感じを思い出してほしい。メンタル・マジックでは、まさにあれが全ての呪文に起こり得るんだ。まあ、誰かがひとたび《Force Void》を打てば、そのゲームの間だけは心配しなくていいわけだけど。わざわざ自分のスペルを相手のカウンターに遭わせて、あげくにカードを一枚引かれるなんてのは、最悪の気分としか言いようがない。

《紛糾》の話に入ろう。《紛糾》は《Force Void》と《マナ漏出》の分割カード、というのにかなり近い。ちょっとコスト高の《マナ漏出》としてプレイするもよし、サイクリングして《Force Void》効果を選ぶもよし。どちらの選択肢も、ゲームの序盤では悪くない効果だ。もし相手が不用意にタップ・アウトしてきたら、自分の呪文が墓地に置かれた上に相手はカードを引いてる時の、あの土手っ腹にパンチをもらったような感覚をたっぷり味あわせてやろう。相手の土地が1〜2枚起きてたって、とにかく相手の呪文に「不可」をつきつける満足感は得られる。土地が並び始めて、《マナ漏出》すら効果的ではなくなってきたら、サイクリングしてもっと役に立つ(かも知れない)ものを引いてこよう。たった一枚の打ち消し呪文に、これ以上のことをなにか望むかい?

インベイジョン・ブロックのマルチカラーの打ち消し呪文たち――《吸収》、《蝕み》、《ドロマーの魔除け》――はみんなスタンダードを去ってしまい、コントロール・デッキは3マナ域の有用なカウンターの不足に直面することになるはずだ。《紛糾》はそのスロットに収まるんじゃないかと思う。《嘘か真か》と《夜景学院の使い魔》も環境を離れてしまうと、それらのカードが入ってたコントロール・デッキにおける《堂々巡り》の効力が明らかに低下する。そうなると、代用品として《紛糾》に出番が回ってくるかも知れない。その働きはきっと期待を裏切らないものになるだろう。

《紛糾》は新スタンダード環境で確実にプレイされるだろうし、ブロック構築でも使われるだろう。エクステンディッドみたいなさらに速い環境では、ちょっとコストが高すぎるように見えるけど、それでもハナから問題外ってことはないと思う。カード・アドヴァンテージってのは好いものだし、打ち消し呪文ってのも好いものだし、――かつて《撹乱》や《放逐》がそうであったように――そのふたつの好いものが組み合わさってる《紛糾》は、おそらくほぼ確実にその有用性を自力で証明してみせるだろう。おまけに、《撹乱》と違って、旬が過ぎたらすぐになにか他のカードと交換することまでできるんだから。

《紛糾》が構築戦で必須のカードになるだろうか? それは時が経ってみないとわからない。でもとにかく、もし必須になったとしたら、これだけは言える。トーナメント・プレイヤーたちは、相手の3マナが起きてることの恐ろしさを、もうメンタル・マジックのプレイヤーたちはいやというほど知っているあの恐ろしさを、知ることになるだろう。ようやく、《Force Void》にも、しかるべき敬意が払われる時が来たのかもしれない。

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。