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オンスロート・カード・スポットライト:定員過剰の墓地

原文
Onslaught Card Spotlight: Oversold Cemetery
著者
Brian Kibler
訳者
高潮の翻訳者
投稿日
2002-10-09
更新
2003-06-29

ラース・サイクルの頃からトーナメント・レベルでマジックをやってた人なら、「カウンター・フェニックス」デッキのことはご存じだろう。何度でも手札に戻せる《陶片のフェニックス》と《禁止》とのコンボを主軸に据えた、史上でも有数の純粋なコントロール・デッキで、当時の環境のたいていのデッキに対してソフト・カウンター・ロックをかけることができた。ひとたび対戦相手のスペルのほとんどを打ち消せる態勢が整えば、あとはちょっとした隙をうかがって勝ちに向かえばよかった。

当時の環境では、《禁止》を繰り返し打つほど強力な作戦は他になかったし、プレイするあらゆる呪文がカウンターされることほど苛々することも、ちょっと他にはなかった。コントロール・デッキに対する典型的な対処法は軽いクリーチャーによるビートダウンだけど、「カウンター・フェニックス」はそれに対しても赤の除去呪文という対策を装備していた。だから、当時の環境の他のデッキは、それ以外の解答を探さなくちゃならなかった。それはなかなか打ち破りがたい壁だった。

「カウンター・フェニックス」の“ロック”は完璧なものじゃない。対戦相手はとにかくも手札のスペルをプレイすることはできる。ただそのほとんどがカウンターされておしまい、というだけで(あ、「ほとんど」って書いたのはもちろん「もし全部じゃなかったら」ってこと)。《禁止》−《フェニックス》ロックは、基本的に対戦相手は1ターンに1枚しかカードを引けないってことが前提条件になっている。そして、その全部が脅威になるなんてことはあり得ない。一方こちらは毎ターン蘇る不死鳥と、それ以外にもう一枚なにかしらドローするから、相手の脅威を打ち消すのは難しいことじゃない。

そこで《グールの誓い》の出番がきた。このたった2マナのエンチャントは、「カウンター・フェニックス」の《禁止》ロックに対する解答をもたらしてくれる。少なくとも「リヴィング・デス」デッキにおいてはそうだった。《グールの誓い》は「リヴィング・デス」――そうでなくても、とにかく黒マナを使うクリーチャー・ベースのデッキ――では、毎ターン一枚脅威となるクリーチャーを手に戻してくれる。これはプレイする呪文の枚数を保証するだけじゃなくて、そのプレイする呪文が例えば《スラルの外科医》みたいな「カウンター・フェニックス」にとって極めて厄介なものであることも確かにしてくれる。キャスティング・コストが低いために、《グールの誓い》はカウンターをくぐり抜けて場に出やすく、赤青デッキが伝統的にそうであるように「カウンター・フェニックス」も場に出たエンチャントへの対策を持っていない。2ターン目の《グールの誓い》がゲームを決めてしまうことは、実際珍しくなかったんだ。

現在の環境におけるコントロール・デッキは、純粋なコントロール戦略をとっていないものが多い。例えば「サイカトグ」デッキは、長期にわたる消耗戦に突入する前に対戦相手を倒してしまう。だけど、《嘘か真か》と《夜景学院の使い魔》が落ちたら、たぶん「サイカトグ」のスピードはもっと落ちて、それに対して《グールの誓い》がもたらしてくれるアドヴァンテージが有効になってくるだろう。僕たちは最近になって《起源》のおかげで再利用戦略の恐ろしさをまた思い起こしたけど、それでも《起源》はちょっとマナを喰い過ぎで、拾ってきたそのターンに脅威をプレイすることは難しかった。この点は《グールの誓い》の効果の方が上回ってる。

さて、そこで、見よ! オンスロートにはこんなカードが入ってるんだ。

《定員過剰の墓地 / Oversold Cemetary》

あなたのアップキープの開始時に、あなたの墓地に4枚以上クリーチャー・カードがある場合には、あなたはあなたの墓地にあるクリーチャー・カードを1枚対象にし、それをあなたの手札に戻してもよい。

ちょっと見には《グールの誓い》がトーン・ダウンしただけのようにも見えるこのカード。実際、コントロール・デッキに対して、4枚クリーチャーを墓地に溜めなければ、何の効果もない。ただ、ひとたびそこまで届けば――どうにかしてそうなるような戦略を立てる必要はある――えらいことになる。《定員過剰の墓地》は毎ターンマナもなしにクリーチャーを手札に戻してくれる。そうなれば脅威に次ぐ脅威を手札から繰り出して、コントロール使いの対戦相手に解答を要求することができる。解答がなければ死あるのみ、だ。今後「サイカトグ」デッキはスピード・ダウンして、「黒コントロール」の割合が増えてくることだろう。「黒コン」の《定員過剰の墓地》に対する解答は《消えないこだま》しかない。このカード・アドヴァンテージ(質の方も保証つき)製造機は、きたる新スタンダード環境できっと猛威を振るうだろう。

今年の世界選手権に向けて調整をしている時に作ったデッキの中で、とても印象的だったものに、緑赤黒の「《生き埋め》−《起源》」デッキがあった。そのデッキは、《起源》とその他2体のユーティリティ・クリーチャーを《生き埋め》でデッキからサーチして墓地に落として、《起源》でそのクリーチャーたちを手札に戻して繰り返し使う、ってコンセプトだった。クリーチャーには《パーディック山の鉱夫》――生け贄にすると対象のプレイヤーはそのターン土地をプレイできない――が入ってて、これが回り始めると対戦相手は二度と土地を置けなくなるっていう、笑っちゃうようなロックも組み込まれてた。《定員過剰の墓地》があれば、似たようなことができるかも知れない。拾うのにマナが要らないぶん、ロックを決めるのはもっと簡単になる、かも。

新スタンダードの、大量のユーティリティ・クリーチャーを使えば、環境のスロー・ダウンも追い風になるし、《定員過剰の墓地》が自分にだけ働いて相手には利しないことも考えると、このカードはひょっとするとほんとに《グールの誓い》の新ヴァージョンとして使えるかも知れない。もちろんクリーチャーを4枚落とすのは楽じゃないし、そのおかげでこのカードは使われずじまいになるかも知れないけど、まあそれは時が経てばはっきりすることだろう。コントロール・プレイヤーは刮目せよ! 君の手札の打ち消し呪文は、これまでほどは役に立たなくなってるんだ。

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。