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世界選手権2002 決勝戦:Carlos Romao 対 Mark Ziegner

原文
Finals: Carlos Romao vs. Mark Ziegner
著者
Aaron Forsythe
訳者
高潮の翻訳者
投稿日
2002-09-18
更新
2003-06-29

今週末だけで、「サイカトグ」同士のミラーマッチは何百回と戦われた。この対戦も、その中のひとつに過ぎないとも言うことができる。だが、実際にはこの対戦は素晴らしいストーリーを背負っていた。

ブラジルのCarlos Romaoはラテン・アメリカ地域から初めてプロツアーでトップ8入りを果たした二人のプレイヤーの一方で、ドイツのMark Ziegnerはこれに勝てば同一イベントで個人戦とチーム戦を制すことになり、これは史上わずかひとりしか達成していない偉業なのだ。

この試合が、この大会の多くの因縁を全て内包している――「Red Zone 2K2」から「青白《金切るときの声》」に至るデッキたち、Cole SwannackからKen Krounerに至るまでのプレイヤーたち、先行してみせたアイルランドとアルゼンチンから驚異の追い込みを見せた合州国に至るチームたち。すべてはここ、フィーチャー・マッチ・エリアの厳しいライトの下に在った。これが、2002年のマジック界の頂点だ。

Mark Ziegnerが手に取った武器は青黒赤の《燃え立つ願い》−《サイカトグ》デッキで、サイドボードには《石の雨》《紅蓮地獄》を含む“銀の弾丸”が詰め込まれている。Carlos Romaoは青黒二色の《狡猾な願い》−《サイカトグ》デッキだ。二人とも、ここまで上りつめてくるまでにミラー・マッチでのプレイングの上達を存分に見せている。

対戦前に、ブラジルとドイツの小さな国旗がテーブルに飾られ、それぞれのプレイヤーの所属する国家を示していた。この二国は今年既に対戦している――マジックではなく、サッカーの、ワールドカップの決勝戦で。この時はブラジルが勝っている。Ziegnerは敵討ちを狙ってもいるわけだ。

握手をしながら、ZiegnerはRomaoに自分の意志を知らしめた。「ここにはロナウドは居ないからね」。

二人とも1ターン目は《塩の湿地》を置く申し分のないスタートだったが、先にテンポをつかんだのは先手のZiegnerだった。Romaoの2ターン目に《氷》を土地に打って《夜景学院の使い魔》のプレイを防ぐと、3ターン目には《使い魔》に《記憶の欠落》。Romaoはそのターン土地を置けず、次のターンさらに土地を引かないままプレイした《使い魔》は《火炎舌のカヴー》で焼き殺されてしまう。

Romaoは土地を引けないまま《火炎舌》に《チェイナーの布告》。それならばとZiegnerは六枚目の土地を置き、《燃え立つ願い》で調達した《ロボトミー》をプレイ、《嘘か真か》を根こそぎ取り除く。Ziegnerとしては《サイカトグ》を抜きたかったところだろうが。

土地三枚に対して相手は土地八枚に《夜景学院の使い魔》という状況で、それでもRomaoは精一杯の抵抗を見せる。《狡猾な願い》で《嘘か真か》を取り戻したのだ。そう、もはや「ゲームから取り除」かれたカードは決して永遠に手が届かないものではない。

しかし、この《嘘か真か》は結局キャストされることはなかった。Ziegnerはマナの優位を活かしてビートダウンを開始。二体目の《使い魔》、《サイカトグ》、《火炎舌のカヴー》(自分の使い魔を対象→使い魔再生)と並べ立てる。

《綿密な分析》フラッシュバックと《嘘か真か》を悠然と打ってから、Ziegnerは止めの総攻撃に出た。

Ziegner 1-0 Romao

■第2ゲーム

Romaoは2ゲーム目も後手をとるという面白い選択をした。1ゲーム目が事故だったためだろうが、残念ながらあまり上手くはいかなかった。マリガンする羽目になったのだ。

2ターン目にZiegnerは《強迫》を放つが、Romaoの手札は《記憶の欠落》《嘘か真か》が各一枚とあとは土地だらけ。ZiegnerはFOFを落とさせると、次のターンの《燃え立つ願い》で《記憶の欠落》も使わせた。これでZiegnerにとっては万全な筈だった。

ところが、次のターンの《願い》にRomaoは今引き《対抗呪文》。4ターン目の《嘘か真か》にもう一丁今引き《対抗呪文》。ドイツ人はこの展開に流石にはっきりいらだった様子を見せる。再びZiegnerは《強迫》をキャストすると、ブラジル人は対応して《嘘か真か》を打った。めくった5枚は《チェイナーの布告》2枚、《綿密な分析》《嘘か真か》《島》。この順番に3枚−2枚に分けると、Romaoが3枚の方を取って、《強迫》を解決する。Ziegnerは《綿密な分析》を落とさせて、返しのターンでRomaoがフラッシュバックしてきたその《分析》を《記憶の欠落》で打ち消した。

何ターンか二人の動きが止まってから、Ziegnerが動く。《燃え立つ願い》。Romaoはそれを通した。Ziegnerは《綿密な分析》を手に入れて、カードを2枚引いた。

Romaoが余りマナのない状態で《激動》をキャストする。だがZiegnerは《記憶の欠落》でカウンターした。Ziegnerはさらに2枚カードを引いて、《強迫》を打った。Romaoの手札にはもう一枚の《激動》と、《布告》が3枚あった。Ziegnerは《布告》を捨てさせた。Romaoはアンタップすると、《激動》を打ち、山のように土地カードをディスカードした。

Ziegnerも返しのターンで6枚土地をディスカード。そこでRomaoが《強迫》で《堂々巡り》を落とさせる。どちらのプレイヤーも決め手のない展開になってきたように見える。

と、Ziegnerはまた《堂々巡り》を引いた。こうなると、「《使い魔》をプレイ→《布告》される→《記憶の欠落》→もう一回《布告》→さよなら《使い魔》→《サイカトグ》をプレイ→《欠落》で打ち消した《布告》→《堂々巡り》でカウンター」というプランが出来る。実際ゲームはその通りに進んだ。ただ、テーブルの反対側にはもう一匹《サイカトグ》が居座ってしまった。

Ziegnerはさらに《堂々巡り》をドロー。これでRomaoがマナ・ベースを再構築しても《激動》で即死はなさそうだ。しかし場がこのままでは勝ちようがないし、いずれ《布告》をフラッシュバックされてしまう。Ziegnerは《使い魔》を場に送った。

Romaoが動き始めた。まず、《強迫》でZiegnerの最後の手札《堂々巡り》を落とすと、《サイカトグ》を起動して《嘘か真か》を2枚取り除き、そのうち一枚を《狡猾な願い》で手札に戻してキャスト、呪文を充実させる。

Ziegnerはこのままでは殺されてしまうので、意を決して《サイカトグ》で攻撃した。Romaoも《サイカトグ》でブロックせざるを得ない。いろいろ能力起動したり解決したり、全部が済んでもまだ《サイカトグ》は両方立っていた。ただし墓地はほとんど空っぽ、怪物のサイズは11/12。二人とも墓地にはたった一枚《布告》が残っている。Romaoは自分のターンが来たところで《使い魔》をプレイした。

Ziegnerは《嘘か真か》を引き当てて即プレイ、Romaoも対応して《嘘か真か》を打つ。Romaoは《狡猾な願い》と土地一枚、Ziegnerは《マーフォークの物あさり》と《反論》と土地を手に入れた。

Romaoが《願い》で手に入れた《嘘か真か》は《反論》で打ち消される。だがこれでZiegnerのカウンターは尽きた。Romaoは一旦《サイカトグ》を通してのディスカードでスレッショルドを得てから、《セファリッドの円形闘技場》を起動した。これで《激動》の準備は整ったわけだ。

Romaoが7マナタップして《激動》を打ち、2マナ浮かせる。Ziegnerは対応して自分も2マナ出した。これははったりだったが、Romaoはひっかかってしまい、《サイカトグ》ではなく《使い魔》をプレイ。だが、結局これは勝負には影響しなかった。Romaoは続く2ターン《サイカトグ》を連続してプレイし、《物あさり》もろともZiegnerを踏みつぶした。

Ziegner 1-1 Romao

■第3ゲーム

Ziegnerの先手。ここで《塩の湿地》から入ったため、《強迫》が打てず、逆に返しのターンで《強迫》されてしまう。「じゃあ、《強迫》を《強迫》するってことで。」Ziegnerの手札は他に《サイカトグ》《嘘か真か》がある以外は土地ばかり。3ターン目の《サイカトグ》は《反論》されるが、4ターン目のメイン・フェイズに打った《嘘か真か》は通り、土地二枚と《記憶の欠落》を入手。

Romaoは4ターン目にタップアウトして《綿密な分析》。Ziegnerは次のターンに労せずして《サイカトグ》を通す。Romaoは《使い魔》をプレイし、《布告》を放つが、これは《記憶の欠落》で打ち消されてしまう。サイカトグは次のターン攻撃(ダメージは1点)。Romaoが再び《布告》をプレイしたのに対応してZiegnerは《嘘か真か》を試みるも、《記憶の欠落》でカウンターされ、《サイカトグ》は死ぬ。

ZiegnerはRomaoの次のターンのアップキープに《嘘か真か》をキャストした。めくったカードは呪文ばかり五枚、これをRomaoはぱぱっと次のように分ける。

Ziegnerは3枚の方を取ると、《使い魔》をプレイした。

Ziegnerが《分析》をフラッシュバックしたところで、それをスタックに乗せたまま、両者が動いた。まずはRomaoが《枯渇》を《狡猾な願い》で持ってきてキャストするが、これはZiegnerが《記憶の欠落》。Romaoはさらに《嘘か真か》を打つと、Ziegnerは対応して《使い魔》を《排撃》する。めくった五枚は以下のように分けられた:

Romaoは2枚の山を取り、ここでようやくZiegnerは《分析》の分のカードを引いた。Romaoは再び《使い魔》をプレイしてターンを渡す。Ziegnerは《布告》で《使い魔》を殺そうとするが、Romaoは対応してまず《枯渇》を打つと、続けて《嘘か真か》をキャスト。Ziegnerは《サイカトグ》1枚とそれ以外――《対抗呪文》2枚と土地二枚――に山を分けた。観客はブラジル人の幸運に沸いたが、Romaoは敢えて茨の道を選んだ。《サイカトグ》を取ったのだ。

Ziegnerは《島》を置いて、《反論》か《記憶の欠落》が(ハンドにあれば)キャストできるぞ、という構えを作ってみせ、ターン終了。だがどちらにしてもRomaoは勝ちに向かうのが最善の手で、《激動》を打ってなおかつ《サイカトグ》分のマナをマナ・プールに溜めた。どうにもならないこの後のプロセスを経るまでもなく、Ziegnerは投了した。

Ziegner 1-2 Romao

■第4ゲーム

ゲームが始まる前に、イヴェント・スタッフたちがトロフィーのどっさり乗ったテーブルをステージに運び込んできた。「ちょっと勘弁して欲しいな」Romaoは笑みを浮かべて言った。優勝がかかっていることを思い出して、プレッシャーがかかるのが嫌なのだろう。Ziegnerはそうは感じないようだった。プレイマットを軽く叩いて、「ここに賞金を積んでくれないかな。」 これにはテーブル・ジャッジのGis Hoogendijkもジョークで応じた。「試合が見えなくなるから、却下」

第4ゲームはZiegnerが好い滑り出し、2ターン目に《強迫》で《嘘か真か》を叩き落とした。そこからはゆっくりした展開で、Romaoの5ターン目の《使い魔》は《排撃》され、Ziegnerの《嘘か真か》は打ち消された。《使い魔》は再び場に出たが、今度は《布告》を受け、Romaoの続く《サイカトグ》も《堂々巡り》でカウンターされる。

Ziegnerはもう一体出てきた《使い魔》にも《布告》を浴びせると、怒涛のドロー・スペル連打を見せた。《綿密な分析》、同フラッシュバック、《燃え立つ願い》で取り戻してもう一回それを繰り返し、さらにもう一枚をキャストした上に《嘘か真か》、……等々。

Ziegnerは《ロボトミー》を引き当てると、Romaoの《チェイナーの布告》を全部取り除いた。これで《サイカトグ》は安泰だ。

3体の《サイカトグ》が並ぶのを、Romaoはただ見下ろす。しかし、Ziegnerが攻撃して、手札の殆どをディスカードし、墓地に落ちたカードは全部取り除いたところで、Romaoは手札の最後の一枚をキャストした――《狡猾な願い》。これで《排撃》を持ってきて、ライフを6点残して生き残る。返しのターン、Romaoは《セファリッドの円形闘技場》を起動、ライブラリからカードを墓地に送り込むと、その中には《綿密な分析》が入っていた。これをフラッシュバックして、ライフは3点、2枚引いて、引いたスペルを即キャスト!《激動》!

さらに《夜景学院の使い魔》が場に出て、Romaoを護る。これはひょっとすると――

だが、ひょっとしなかった。Ziegnerは《布告》と《火+氷》を持っていたのだ。どちらも、《サイカトグ》の道を切り開くには充分すぎるカードだった。

Ziegner 2-2 Romao

■第5ゲーム

第5ゲーム。すべてが決まる。

一度は《記憶の欠落》された《強迫》をRomaoはもう一度打って、《嘘か真か》を抜く。Ziegnerは《綿密な分析》をキャストしてターンを渡し、Romaoはその隙に《サイカトグ》をプレイした。Ziegnerがアンタップして《強迫》を打つと、Romaoの手札は《対抗呪文》《堂々巡り》《堂々巡り》《綿密な分析》。観客にざわめきが走る。「結構いい手札だね」Ziegnerはため息をつくと、《対抗呪文》を落とさせた。

Romaoは次のターン《綿密な分析》を打ってタップアウトし、今度はZiegnerがアドヴァンテージを得る。まず《強迫》で《反論》を捨てさせると、《布告》で《サイカトグ》に引導を渡す。

その後、双方のプレイヤーが相手の打ち消し呪文をくぐり抜けてエイトグを場に送り出した。Romaoは《布告》のフラッシュバックも《堂々巡り》で打ち消した。それから、何ターンかが動きもなく過ぎた。

Romaoが《狡猾な願い》を巡る長い長いカウンター合戦に勝利し、《嘘か真か》を手に入れた。これでZiegnerは完全にガス欠になり、さらにドローも二枚続けて土地が来てしまう。一方でRomaoは手札を肥やし、《嘘か真か》をキャストする。めくった五枚は《激動》と他のスペル4枚。Ziegnerは《激動》とそれ以外に分けるが、Romaoは4枚の方を選んだ。観客が沸いた。

もう一度《嘘か真か》を打つと、Romaoは《サイカトグ》でただ殴るだけで相手を殺せるぐらい手札がふくれあがっていた。Romaoは攻撃を宣言した。Ziegnerがブロックすると、Romaoはゆっくりとポルトガル語で各々の墓地の枚数を数え始めた。それからその数字に満足したように、《サイカトグ》を9/10までパンプアップした。Ziegnerの《サイカトグ》はそのまま死んだ。1ターン後に、Calros Eduardo Romaoの名と、ブラジル、南米という地域が、歴史に刻まれた。

最終結果:Romao 3-2 Ziegner

Calros Romaoとその他のラテン・アメリカ勢がこれほど際立った成績を残したのは、完全に環境を読みきったからだ。「サイカトグ」同士のミラーマッチに勝つためには、相手のドロー・スペルを打ち消してはいけない。《嘘か真か》だろうと《綿密な分析》だろうと通して、本当にやばいスペルのためにカウンターをとっておくこと。これを理解していたから、Romaoはミラーマッチで8−0という成績を残した。

他の多くのプレイヤーは、ドロー合戦にこだわり、敗れた時に何がいけなかったのか理解できなかった。Romaoは違った。相手に好きなだけカードを引かせて、そのうえで殴り倒した。

ここにも「ロナウド」は居た――そして、ブラジルに勝利をもたらしたのだ。

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。