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デッキ・クリニック:Scrambled Egg

原文
The Deck Clinic: Scrambled Eggs
著者
Alan Comer
訳者
NPCさん(◆5J9jlXm6)
投稿日
2002-05-16
更新
2003-06-29

序文

最新の記事をお送りする前に、今やっていることを明らかにしておきたい。「デッキリストを送ったんだが、いつ見てくれるんだYO!」てな感じのメールを何通か受け取っている。みんな、折れにデッキを見てもらいたがってるのはわかるが、そりゃ無理ってもんだ。

折れの仕事の流れはこんな感じ。まずデッキリストをぱーっとめくっていって、その中から (・∀・)イイ! ネタになりそうな奴を見つける。それから、デッキの中身を確認して、頭に叩き込んでおく。んで、Magic Onlineを立ち上げて、トレードなんかで必要なカードを集める。そして、3〜4日の間、8〜16時間かけてそのデッキで遊んで、のんびりと改良していく。そうしてから、2〜3時間かけて記事を書いていく。誰かにそれを校正してもらうのに1日。で、やっとSideboardに記事を送信して、編集とかhtmlに変換する作業とかをしてもらう。記事が完成してみんなの目につくまで、1週間の大半を費やしているわけ。今までに約1000通のメールを受け取ったんだけど、全部やってたら20年はかかっちゃう。

OK、じゃあ選ばれるにはどうすればいいのか? 答えは送信フォームのコメント欄にある。デッキにどんな動きをさせたいか、なんか問題を抱えてるか、何を見てほしいか、そういうことを書いておく。コメント欄は、デッキを選ぶ際に一番見てるところだから。逆にやらないでほしいこと。偏見は大嫌い。人種差別的なコメントやデッキ・タイトルが送られたら、全部デリるから。絶対にすんな。

《ナントゥーコの祭殿》デッキ

OK、この辺はっきりさせといたとこで、新しい診断にとりかかろう。こいつは《ナントゥーコの祭殿》という、使えそうに見える面白いカードを用いたデッキだ。折れは、PT大阪の1週間前に"Shrine Deck"を構築しようとしてた奴がいるって話を聞いた。そんときは調べる時間がなかったけと、コンセプトは面白そうで、後で試してみようと思ってた。4種類の"Shrine Deck"ネタが来てて、その中で一番面白そうなやつをお届けする。

送信者のコメント

このデッキは Frank HernandezのOBCデッキ"Shrine Deck"のスタンダード版だ。スタンダードのトーナメントがあって、このデッキが面白そうだったんで、スタンダードで"Scrambled Egg"デッキを作ろうと思った。基本的な動きは、大量にキャントリップを使用して、デッキを掘りまくり、かつ墓地を肥えさせる。その後、ナントゥーコの祭壇を出して、リストークンを増産する。

折れのオリジナル版では、《リスのお喋り》や《獣群の呼び声》でこのデッキを作ろうとしてた。最初はうまく回るんだが、キャントリップで掘り進めてるうちに、土地を引いてしまうと、動きが完全に止まってしまう、という欠点が露呈した(土地は16枚しかないってのに、だ)。そこで、このフラッシュバック呪文を、さらなるキャントリップ呪文に入れ替えた。

デッキは非常に低いマナ・カーブ(36枚のスペルがシングルマナ)と12枚の青のキャントリップで構成されていて、マナ基盤は良好だ。

デッキはテストではかなりうまく回るんだが、致命的に弱い呪文やクリーチャーがたくさんある。それで今日はこのデッキを紹介したわけ。デッキを強化するネタはないか? サイドボードにもちと問題あり。マングースはやりよると思うけど、残りの大多数のカードは不確実だ。

分析

こいつは見てのとおりのコンボ・デッキだ。コンボ・デッキは伝統的に2つの特徴がある。1つ目は非常に速いこと。これらのデッキは、1〜4ターン、遅くて5ターンで勝ちにいく。大抵のデッキでは、対処できる余裕がないくらい速い。2つ目は、デッキ・デザインに余裕があること。コンボが回るまでにやられないよう、ディフェンス用のカードと併せてデッキを構成できる。

さて、このデッキだが、その1には当てはまらない。Shrineを貼るのに3ターンかかるし、こいつは4ターン目になってやっとクリーチャーを生み出す。さらに、その2にも当てはまらない。ほぼすべてのカードがコンボの一部で、素では防御手段がまるでないし、《ナントゥーコの祭殿》も代わるものがない。コンボスタートには必ず1枚必要で、それを《強迫》とか《対抗呪文》されたら、秒で逝ってまう。ドロー系のカードがたくさんあるから問題ないんじゃない? とか思われるかもしれん。でも、コンボ・デッキはコンボをスタートするための手段が必要なんだ。カードドローはコンボ・デッキの基本、あって当たり前。要するに、こいつはあまり有望じゃなさそう、ってことだ。

Playtesting

多分、今までのデッキの中で、一番プレイテストの回数をこなしたと思う。オリジナルのデッキは緑単には勝てるんだが、その他大勢のデッキにやられてしまう。負け筋は《強迫》、《対抗呪文》に加えて、《崇拝》、バーン、《破滅的な行為》、そしてサイドボード後のエンチャント除去と大幅増。

最初にやった修正は、もらったコメントとほぼ同じで、緑ベースのデッキにすることだった。《獣群の呼び声》と《獣の襲撃》をぶち込んで勝ち筋を増やしてみたり、他に、《入念な研究》を加えて、土地を引きすぎた時の対策をしてみた。《祭壇》に頼りすぎることがなくなり、クリーチャーデッキは動きが鈍ってくれるので、悪くない変更だった。このまま、さらにデッキを洗練させたかったが、次の改良点は「《祭壇》を抜くこと」になると気付いてしまったんで、この方向性での変更は止めた。《祭壇》コンボがデッキのキモなんで、もうこれは変更しないことにケテーイ。

それからのプレイテストで、大きな変更点が2つ入り、最終デッキに導入されている。これらは、対戦相手がこのデッキを使用してた時に見つかった。折れには思いつきもしなかったカードだった。

1枚目は《時間の泉》。折れは《泉》は好きじゃないんだが、対戦相手のプレイするたいていのパーマネントに対処できる能力がある。《崇拝》なんかはもう問題なし。さらに、「パーマネントをライブラリトップに戻す」という効果は、《祭壇》とのシナジーが素晴らしかった。《泉》をドロー、プレイ、自分はリスを出して、対戦相手は次にドローしたカードで何匹のリスを出せるか正確に知ることができた。大抵0だったけど(訳注:土地を戻したってこと)

2枚目のカードで、プレイテストの2つ目の方向性が決まった。

《吠えたける鉱山》

実のところ、折れの目の前で《吠えたける鉱山》がプレイされたとき、折れはこのテストプレイはうまくいかないだろうと意気消沈してた。ところが、それは大間違いだった。《吠えたける鉱山》は確実に、このデッキにマッチしていたんで、折れは自分でこのカードに到達した、と思ってるくらい。どーでもいいことだな。より多くの防御手段を加える必要があったんで、ずーっと前からEggを抜かなきゃならんと考えてた。でもそうすると、ドローエンジンが減ってしまい、《祭壇》とのシナジーも弱くなっていった。さらに、オリジナルのデッキでさえも、ドローエンジンを起動したはいいが、手札に土地があふれてしまって死亡、ということがあった。《鉱山》を加えることで、より多くのカードをプレイできることが保証できる。土地の処理も容易だし、そして、Egg抜きでも十分なカードドロー能力を得られるので、Eggを全抜きすることにした。大きな問題は、こちらが対処しきれないほどのカードを対戦相手にも与える、ということか。

Playtest セッション2

ゼロから初めて、新修正版が完成。《祭壇》の燃料供給用として、キャントリップ呪文が依然として必要なので、《選択》、《手練》、《彩色の宝球》は残しておくことにケテーイ。青のキャントリップを使うため、新デッキの色は青ベースにして、これと《鉱山》のドローで《祭壇》用の緑マナを引っ張ってくる。

また、《鉱山》によって対戦相手は確実に対抗手段を引いてこれるため、《祭壇》を守るためにカウンター呪文を追加した。選んだのは《対抗呪文》、《中略》、《記憶の欠落》。《対抗呪文》は確実に問題に対処できるし、《中略》も同じ。特に序盤の《中略》は対戦相手の墓地を肥えさせないので、《祭壇》の影響を抑えられる。《記憶の欠落》も、ほぼ同様の働きをする。次のターンにまた同じ呪文を使われるといういやな効果があるが、《鉱山》が場にある状態ならば、相手のカードの周りを多少とも遅らせられるので、よしとしよう。さらに、《記憶の欠落》で対戦相手の《対抗呪文》を戻せたのなら、また引かれても気にすることはない。そうなるのは、《ナントゥーコの祭殿》を出すためだろうし。

おまけに、ゲーム終盤に自分で自分の呪文をカウンターすると、イカす相互効果が見られた。墓地に同じカードが3枚ある状態で呪文をプレイして、これを《記憶の欠落》でカウンター、《選択》でドローして、またプレイ。こんな感じで、同じ呪文を何回もプレイして、《祭壇》の能力を何回も誘発させる、という面白い状況を可能にしたのだ。

キャントリップの枚数が劇的に減ったので、土地を何枚か増やす必要があった。最初のバージョンでは土地枚数は16枚でも安定していたのに、対照的だな。

最後に、確実に勝つために、フィニッシャーが必要になった。こいつは数多くの《祭壇》デッキで使用されていたので、見つけるのはさほど苦労しなかった。《踏み荒らし》。ああ、こいつをプレイするには大量の緑マナが必要なのはわかってる。でも、こいつが必要になったときには、大抵マナはそろってるもんだ。このバージョンは今まで作ってきた中で一番成功したように見えた。《吠えたける鉱山》が対戦相手に利益を与えることはよくあるが、それでも《鉱山》のドロー能力は必須だとわかった。

サイドボード

メインデッキに多くの時間を費やしたため、サイドボードのための時間は限られていた。しかし、幸運なことに、サイドボードチューニングの指針は明白だった。《ナントゥーコの祭殿》の効果を最大限に生かすため、1種類につき4枚突っ込む(4枚ずつを3種類、3枚を1種類にする)。サイドボード構築の際に最も気をつけたのは色だった。以下が、選んだカードとその理由。

《忍び寄るカビ》:
対エンチャントが欲しかったし、《陰謀団の貴重品室》を壊せるカードが必要だったので。サイドボードの枚数制限の中で、両方の効果を得られ、プレイ的にも《対立》と同じ能力として扱える。
《堂々巡り》:
カウンター呪文がさらに必要になったら。カウンター呪文16枚のうちいくつかは平均以下のレベルだが、これらとカードアドバンテージを取れる呪文で、対カウンターデッキとも互角に戦えるだろう。
《獣群の呼び声》:
汎用性の高い、よい呪文。時に、《吠えたける鉱山》を抜いて突っ込むことになるだろう。どんなデッキに対してもよいサイド。
《たい肥》:
サイドボードの中では、こいつではトークンが出てくることはないだろうね。

サマリー

このデッキは、診断開始時はまるでゲームに勝つことができなかった。初期のテーマを変えることなく、改良をすすめてきた。しかし、改造が全部終わった段階でさえ、こいつの評価は二線級だ。オリジナルのビルダーは、これはファンデッキとして構築したと書いているし、折れはこのデッキで楽しんでもらえることを望んでる。プレイするのはちょっと大変だろうがね。万一彼が勝つための努力をしてくれるなら、このデッキはもっと勝率が上がると思う。じゃなかったら、《吠えたける鉱山》を使ったデッキのネタを考えてくれることを期待してるよ。

当ページは、2ちゃんねる卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。